経産省が進める「エッセンシャルサービス支援」とは何か
地方企業は“社会性”をどう資金調達へ変えるべきか

Kochi,City,View,From,Mt.godaisan

近年、経済産業省が強く打ち出し始めているのが、

「エッセンシャルサービス(ES)」

という考え方です。

これは単なる社会貢献政策ではありません。

むしろ、

  • 人口減少
  • 地方衰退
  • 人手不足
  • 災害リスク
  • インフラ維持困難

といった、
日本経済そのものの構造問題に対する、

“産業政策”

として位置づけられています。

特に経産省は、

「地域生活を支える事業が維持されなければ、日本経済全体が弱体化する」

という危機感を明確に示しています。

つまり今後、

  • 医療
  • 介護
  • 子育て
  • 物流
  • 地域交通
  • ガソリンスタンド
  • フェムテック
  • 地域生活支援

など、

“地域を維持する事業”
は、単なる民間ビジネスではなく、

「社会インフラ」

として扱われ始める可能性があります。

これは、
地方企業や地域スタートアップにとって、
非常に大きな意味を持ちます。

目次

経産省が本当にやりたいこと

インフラ

今回の経産省の議論を読むと、
本質はかなり明確です。

それは、

「地域を止めないこと」

です。

経産省は、
エッセンシャルサービス不足が進むと、

  • 地域生活維持困難
  • 労働人口流出
  • 企業立地悪化
  • 地域経済縮小

へ繋がると考えています。

つまり、

エッセンシャルサービス企業が存在し続けること自体が、
地域経済維持になる

という考え方です。

ここが非常に重要です。

「社会性」ではなく「経済維持装置」として見られ始めている

これまで、
社会課題型事業は、

「良いことをしている会社」

として見られることが多かった。

しかし今、
経産省はそれを、

「地域経済を維持する装置」

として見始めています。

つまり、

  • 地域に人が住み続ける
  • 高齢者が生活できる
  • 子育て世帯が定着する
  • 地域企業が操業できる

ためには、

ES事業が必要不可欠、
という考え方です。

これは地方企業にとって、
非常に大きな追い風です。

実際に想定されている制度メリット

経産省資料では、
ES事業者支援として、

  • 低利融資
  • 信用保証
  • 債務保証
  • 中小企業投資育成制度
  • 補助金活用
  • DX支援
  • 税制措置
  • 規制緩和

などが検討されています。

特に重要なのは、

「ES供給の持続性確保」

というミッションで、
金融支援を位置づけていることです。

つまり、

単なる中小企業支援ではなく、

「止めてはいけない事業を維持するための金融」

へ変わり始めています。

銀行は「良い会社」に融資するわけではない

銀行

元銀行支店長として言うと、
銀行が本当に見ているのは、

「返済できる会社か」

です。

つまり、

  • 継続性
  • 安定性
  • 必要性
  • 景気耐性

を見ています。

その意味で、
エッセンシャルサービス事業は、

「景気が悪くても必要」

という強みを持ちます。

これは金融的にはかなり強い。

特に、

  • 地域密着
  • 生活インフラ
  • 継続需要

を持つ企業は、

“社会インフラ企業”
として評価されやすくなる可能性があります。

BCP(事業継続計画)が重要視される理由

経産省がES政策で重視しているのが、

「止まらないこと」

です。

そのため、

BCP(事業継続計画)が非常に重要になります。

例えば、

  • 災害
  • 感染症
  • サプライチェーン停止

などが起きても、

「どうサービスを維持するか」

を事前に整理しておく。

これは単なる防災ではありません。

金融機関から見ると、

「有事でも返済可能性が高い」

という意味になります。

つまりBCPは、

“金融信用”

にも繋がるわけです。

実は「公的フォローされやすい事業」でもある

ここはかなり重要です。

経産省は、

「ESを止めない」

ことを重要視しています。

逆に言えば、

「止まると地域が困る」

ということです。

つまり有事には、

  • 緊急融資
  • 補助制度
  • 行政支援
  • 公的フォロー

などが入りやすくなる可能性があります。

もちろん、
必ず支援されるわけではありません。

しかし、

「社会維持に必要」

という位置づけは、
金融・行政両面でかなり強いと考えられます。

なぜ今、「社会性」に資金が集まっているのか

女性 起業

実際、
現在の金融市場では、

「社会性」

を軸に資金が流れ始めています

例えば、

  • ESG投資
  • インパクト投資
  • ソーシャルインパクトローン
  • サステナビリティファイナンス

などです。

さらに、

株式型クラウドファンディング

でも、

  • 地域課題
  • 医療
  • フェムテック
  • 子育て
  • 地域交通

など、

“社会的必要性”

を持つ事業は共感を得やすい傾向があります。

VCの世界でも、

「社会性 × 持続可能性」

を重視する流れは強くなっています。

つまり、

エッセンシャルサービス事業は、

「今の資金市場」と相性が良い

ということです。

地方企業は「社会性」を経営へ接続する必要がある

ただし、
ここで重要なのは、

「良いことをしている」

だけでは意味がない、ということです。

重要なのは、

「社会性を経営資産へ変える」

ことです。

例えば、

  • 銀行面談
  • ピッチ資料
  • IR資料
  • 補助金申請
  • 採用
  • 営業提案

へ、

  • 地域必要性
  • 継続性
  • 社会インフラ性
  • ES認定意義

を組み込む。

ここまでできると、

社会性が単なる理念ではなく、

“信用資産” になります。

銀行へ「伝える力」も重要

ここもかなり重要です。

銀行員といっても、
全員が制度や社会課題に詳しいわけではありません。

また現在は、
銀行業務の専門化が進み、

広く経営支援できる人材は減っています。

だからこそ、

「担当者が持ち帰って説明できるレベルで」

整理する必要があります。

例えば、

  • なぜ地域維持に必要なのか
  • なぜ継続性があるのか
  • なぜ景気耐性があるのか
  • なぜ行政と親和性が高いのか

を、

金融言語で説明する。

これは資金調達において、
非常に重要です。

これからの地方企業は「地域インフラ企業」へ進化できるか

人口減少時代において、

地方企業は、
単なる営利企業ではなく、

「地域を維持する主体」

として期待され始めています。

経産省側は、

「地域を止めたくない」

企業側は、

「持続的に成長したい」

つまり、

  • 地域課題解決
  • 社会性
  • 経済合理性

を両立できる企業が増えるほど、

経産省と地域企業は、
Win-Winになれる構造です。

だからこそ今後は、

単に「儲かる事業」を目指すだけでなく、

「地域に必要とされ続ける事業」

を、どう金融・経営へ接続していくかが重要になります。

エッセンシャルサービス政策は、

地方企業や地域スタートアップにとって、

「社会性を金融価値へ変える時代」

の始まりなのかもしれません。

The following two tabs change content below.
アバター画像
西谷 佳之(Yoshiyuki Nishitani) 0→2事業加速アクセラレーター / MBA / 株式会社エオストレ 代表取締役 地方銀行で約30年勤務し、1,000社以上の中小企業を支援。支店長として全店舗を表彰店に導いた融資・財務のスペシャリスト。大阪大学でベンチャー創生に携わった後、自らも複数のベンチャー経営に参画。現在は、自社フェムテックベンチャーを経営しつつ、関西にて複数の大学非常勤講師として起業教育に携わる一方、大阪と高知を拠点に、「0→1」及び 起業直後の「1→2」フェーズに特化した伴走支援を行う。著書・寄稿多数。銀行員の「数字の目」と経営者の「現場力」で事業の生存率を高めている。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次