(私的に)起業家が喜ぶ調達方法
近年、スタートアップや小規模事業者の新たな資金調達手段として注目されている「RBF(Revenue Based Finance)」。
日本ではまだ馴染みの薄い言葉ですが、海外ではSaaS企業やD2Cブランドを中心に広がりを見せています。
私はこれまで、銀行支店長として多くの融資案件に携わり、その後、起業支援や経営伴走を行ってきました。
その中で感じてきたのは、
「良い事業なのに、銀行融資の基準に合わない」
という企業が非常に多いことです。
特に、
- 創業間もない企業
- 赤字先行型ビジネス
- 無形資産中心の事業
- 女性起業家
- 地方スタートアップ
などは、将来性があっても資金調達に苦労するケースが少なくありません。
そんな中、近年注目されているのがRBFです。
今回は、2025年に発表された Castagna “Revenue Based Finance: An Evaluation Framework” 論文も踏まえながら、
- RBFとは何か
- 銀行融資やVCとの違い
- どのような企業に向いているのか
- 本論文によって何が変わったのか
について解説します。
RBF(Revenue Based Finance)とは?

RBF(Revenue Based Finance)とは、企業の「将来売上」をベースに資金提供を受ける仕組みです。
通常の銀行融資では、
- 担保
- 保証
- 黒字実績
- 財務安全性
などが重視されます。
一方、RBFでは、
「今後、安定した売上成長が期待できるか」
が重視されます。
また、VC投資のように株式を渡す必要がないため、
株式の希薄化(持株比率低下)が起きない
という特徴があります。
RBFの返済方法

RBFでは、毎月一定額を返済するのではなく、
「売上の○%」
を返済していくケースが一般的です。
つまり、
- 売上が多い月 → 返済額も増える
- 売上が少ない月 → 返済額も減る
という特徴があります。
これは、キャッシュフロー負担を抑えやすいというメリットがあります。
銀行融資との違い

銀行融資は、基本的には「返済確実性」を重視します。
そのため、
- 過去実績
- 財務内容
- 保証力
が重要になります。
しかし、近年のスタートアップやD2C、SaaS企業などは、
「利益が出る前に成長投資を行う」
ケースが多く、銀行基準では評価しづらい部分があります。
RBFは、そうした企業に対し、
「売上成長性」
を中心に評価する点が大きな違いです。
VCとの違い

VC(ベンチャーキャピタル)は株式投資です。
そのため、
- EXIT圧力
- 経営介入
- 持株比率低下
などが起こる場合があります。
一方、RBFは融資に近い性質を持ちながら、
- 株式を渡さない
- 経営権を維持しやすい
という特徴があります。
「IPOを急がない」
「自分たちらしい経営をしたい」
企業との相性は良いと考えられます。
2025年論文で注目されたポイント

Castagna “Revenue Based Finance: An Evaluation Framework” (2025)では、
RBFに向いている企業を、数値化して評価するフレームワークが提示されました。
これまでRBFは、
「なんとなくSaaS向き」
「サブスク向き」
と言われることが多かったのですが、
本論文では、
- 売上継続性
- 顧客維持率
- キャッシュフロー予測性
- 成長率
- 売上変動性
などをベースに、
「どの企業がRBFに適しているか」
を、より客観的に判断できる可能性が示されました。
これは非常に大きな意味があります。
どのような企業がRBFに向いているのか

一般的には、
- SaaS
- EC
- サブスク
- D2C
- リピート型ビジネス
などが向いていると言われています。
理由は、
「将来売上の予測が立てやすい」
ためです。
一方、
- 売上変動が極端に大きい
- 単発売上型
- 季節依存が強い
などの事業は慎重な判断が必要です。
日本でRBFが広がる可能性

私は、今後日本でもRBFは徐々に広がる可能性があると感じています。
特に、
「銀行融資では難しいが、VCにも合わない」
企業は非常に多いからです。
例えば、
- 地方企業
- 女性起業家
- 小規模スタートアップ
- ニッチ市場企業
など。
日本ではまだ、
「資金調達=銀行 or VC」
というイメージが強いですが、
今後は第三の選択肢としてRBFが広がる可能性があります。
最後に
資金調達は、単に「お金を借りること」ではありません。
どの資金調達を選ぶかによって、
- 経営の自由度
- 成長スピード
- 意思決定
- 将来の選択肢
が大きく変わります。
そのため、
「調達できるか」
だけではなく、
「自社に合う調達か」
を考えることが重要です。
RBFは、すべての企業に向くわけではありません。
しかし、これまで資金調達の選択肢が限られていた企業にとって、新たな可能性になるかもしれません。
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