MBA ファンディングアドバイザー 西谷佳之

金融機関経験を活かした中小企業の創業・経営支援

事業計画 創業 女性 資金調達

女性創業者が知っておくべき「お金」のはなし ④

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今回は収支計画と資金繰り計画についての財務項目をおさえながら、資金繰り表の作り方をみてみます。

いくら儲かるかといくらあるか

収支計画は事業がいくら儲かるか、つまり利益がいくら残るかを表し、資金繰り計画はお金がいくら残るかを表します。

もちろんこれらは金融機関から資金調達をするときに必要なものであるとともに、事業を行ううえで押さえておくべきものでもあります。

まずは収支計画に出てくる項目について見てみましょう。

収支計画(損益計画)

収支計画を策定するうえでの主要な項目は以下の通りです。

・売上高

売上高の計画については非常に頭を悩ませるところだと思います。
売上が決まれば付随する経費等も決まってきますので、非常に重要な作業となります。
ターゲットとなる市場や顧客の分析を行ったうえで、施策,顧客別に売上を予想し、トータルとしてどれくらいの売上になるか、根拠を持って決定してください。

・売上総利益

いわゆる粗利益と言われるものです。
売上に対して材料費がいくらかかるか、人件費などは別にして(製造原価にかかるものなどは、ここでは加味しません)単純に売上高から仕入高を差引いた残りです
。単純に手数料収入のみの事業でしたら売上高=粗利益率となる場合もあります。
同業他社の粗利益率も参考にしながら、実態に合わせ利益率を算出する必要があります。

・営業利益

売上高総利益から人件費や家賃などの固定費、広告宣伝費、運送費などの費用を差引いたものが営業利益です。
目標売上を達成するためにいくらくらい宣伝費を使うか商品の運送費はどれくらいかかるか、売上の増減に関わらず必要な固定費と、売上が上がれば上がっていく変動費に分けて考えるのが良いでしょう。

・経常利益

営業利益から支払利息などの営業外の費用を差引いたものが経常利益です。
営業利益がマイナスであれば事業自体が儲かっていないと言えますし、経常利益がマイナスなら支払利息すら払えず借入は難しいということになります。
ただし、減価償却費などの非現金費用は、実際には現金が残るので返済原資としてみなされます。

これらが決まればおおまかな収支は出てきます。

借入資金使途のおおまかな分類

借入調達する主要な資金使途はだいたい以下の3つに分けられます。

・運転資金

運転資金というのは、商売上の現金の回収と現金の支払の期間のズレの差を埋めるものです。(収支ギャップといいます)

たとえば、材料を仕入れて現金10万円を支払うとします。支払うまでに商品が売れて現金が入ってくれば何の問題もありません(黒字倒産のところでも述べました)
しかし、たとえば材料は仕入れて10日後に10万円現金払いとします。商品は15万円で売れるのですが、材料を仕入れて商品として店頭に並べるまでに40日かかるとします。
売れた資金で材料費を支払うとなれば、支払は(40日ー10日)30日遅れてしまうことになります。
ここで30日間だけ10万円を借入したとしたら、支払も出来、返済は売上の回収資金でできます。
商売の信用を失うこともありませんし、利益も5万円(利息分は差引しますが)上がることになります。

この、30日の期間に対して行う借入の資金使途は運転資金となります。
入って来る時期と支払する時期のギャップを埋める資金です。
実際は、締日,支払日などの条件は取引先によって異なりますし、手形が絡めばさらに複雑になります。在庫の資金も考えておく必要があります。(これらをきちんと押さえておかないと、資金がショートし黒字でも倒産してしまいます)
全ての期間を考え合わせ、最終的にギャップを埋めるのにいくら必要でどれくらいの期間が必要なのかを判断します。

・設備資金

設備資金は名の通り設備を購入する資金です。改修費用なども入ります。
事業を行っていく上においては、運転資金以外に設備を購入する資金も必要となります。
通常設備資金は事業の利益から返済していくことになります。(運転資金は資金繰りで返済します)なので設備資金は長期の資金調達が必要となります。

設備は導入した直後から価値が目減りしていくと財務上は考えられています。
価値が下がったとみなされる金額は減価償却費として経費参入が認められています。
減価償却は数字上の経費なので現金は実際には減りません。
ここではあまり詳しく述べませんが、減価償却費は損益計算書上最終利益などと合わせて借入の返済原資として見られています。

・赤字資金

創業時などにはよくあることですが、売上が立たない、もしくは十分な売上がない場合は固定費などの経費のみの支払が先行します。
創業時などは最初に投資すべき資金も多く、手元資金に余裕がない場合が多いでしょう。
固定費などが支払えない場合は調達して支払う必要がありますが、返済原資が無い場合や、実質的に資金繰りがショートしており、資金繰りを回すための資金を赤字資金と言います。
赤字資金についても、将来の儲けで返済していく必要のある資金ですから、長期借入で対応する必要があります。(創業時の赤字に対する資金使途は「創業資金」ということが多いですが)

以上が主要な資金使途となります。

資金繰り表の作り方

これは簡単な資金繰り表の見本です。この表をもとに説明していきます。

まず、収支計画で策定した数値を、その根拠に基づき時系列で分割していきます。
(これは現金ベースではないので、厳密に言えば資金繰り表作成というより、資金繰り表作成の前段階となります)

たとえば売上なら、毎月⚫️万円、特に4月、5月は季節的に顧客の増加が見込めるため⬜︎万円の売上が見込める。
1年間の総売上高は、⚫️×10ヶ月+⬜︎×2ヶ月となります。
この資金繰り表には欄がないのですが、資金繰り表上の月次(年月実績)欄の上に月々の売上高を記入します。(通常はその月々の売上と仕入を各月の上部に記入します。そのほうがわかりやすいので)

資金繰り表への入力

そして、売上代金は現金でいつ入ってくるのか(手形回収の場合は資金化する月の受取手形回収欄に記入します)
たとえば、売上げたのが今月だとしても、翌月の10日に現金支払ならば、翌月の現金売上欄に記入します。(今回は月次資金繰り表を事例としお話ししていますが、日次資金繰り表ならば、翌月の10日の欄に記入します)
今回のケースの場合、4月、5月の売上のみ⬜︎万円となりますね。
4月、5月の売上に対する現金回収、現金支払いは他の月より多くなるはずです。

こういった形で、仕入資金や経費についても現金ベースで記入していってください。
エクセルで作成する場合などは、おおまかな現金回収(支払)サイトが一定ならば数式を入れてしまえば早いですね。

営業上の収支以外の項目の考え方

売上と仕入、経費の現金部分が入力できれば半分以上作成できたと言えるでしょう。
その段階で月々の現金の過不足を見てみます。上の表では次月繰越金の欄です。この時に、一番最初の月の上の部分、前月繰越金のところに、その時点での手元資金残高を入力することを忘れないようにしてください。
資金繰り表の通常一番下の部分は次月への繰越現金がいくらあるかが出てきます。その金額は次月の前月繰越金欄と同額になります。ここの部分のチェックをお願いします。

ここまでの資金繰り表をみて、次月繰越金部分がマイナスになっている場合、資金がショートしていることを表しています。
このマイナス部分を埋めるために、借入をしたり、定期預金を解約したりして現金を補填する必要があるのです。
借入と返済の欄は多くの資金繰り表で、経常の収支とは別の欄になっていると思います。
これは財務分析上のこともありますが、金融機関がわかりやすくするために分かれているのだと思います。

資金繰り表からわかること

前述しましたが、いつ資金が不足するかは当然のこととして、そのほかに重要なこととしては、回収条件や支払い条件をどのように改善すれば借入せずに資金が回るかがわかります。
顧客と交渉する上において重要なことです。また、売上は一定の方がよいのか、季節要因がある場合、どの月に支払いを少なくすれば資金が回るか、どの月の売上を上げる努力をすれば資金が回るかなど、事業にとって重要なことが多くわかります。

是非、効果的に資金繰り表を活用してほしいと思います。

 

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西谷 佳之
大阪生まれ 神戸大学大学院経営学研究科修了(MBA) 大学卒業後地方銀行勤務。約10年 4ヶ店の銀行支店長経験後リレーション推進部地域創生室を経験し、大阪大学産学共創本部特任研究員として大学発ベンチャーの創生に関わる。 一方で、中小企業支援をライフワークとし、テイクオフパートナーズを立上げ。銀行ではほぼ全ての期間で法人取引を担当した経験や、支店長として着任したすべての店舗を業績表彰店に導いた手法とMBAの知識をもとに、個社別のコンサルタントや経営関連講演を行うことで事業サポートを行っている。 銀行の枠組みを超えた企業サポート手法のひとつとしてクラウドファンディングの可能性に魅力を感じ、クラウドファンディングを利用した事業サポートに注力している。 また、起業志向学生のサポーターとして大学発ベンチャー創生にも携わっている。

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