MBA ファンディングアドバイザー 西谷佳之

金融機関経験を活かした中小企業の創業・経営支援

BtoC アロマテラピー マーケティング

香りが顧客を導く アロマテラピーを使ったセンサリーマーケティングで差別化を図る

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『消費者にとってブランド(選ばれる販売者)となるためには、情報で飽和状態になっている世界でマーケティングコミュニケーションをこれ以上増やしても効果は薄い』

ブランドマネジメントの世界的な第一人者のひとりである マーチン・リンストローム氏の言葉です。

また、マーケティングの神様と言われるフィリップコトラーは

『今日、マーケティングは機能していません。新商品は高い割合で惨めに失敗しています。大半の広告キャンペーンは顧客の心の中にこれといった印象を何も残しません』と言っています。

大部分のマーケティング

何故このようなコメントが業界の第一人者から出されているのでしょう。

何故なら、大部分のマーケティングは「視覚」と「聴覚」の2つの感覚しか考慮していないからです。

マーケティングの技術がコモディティ化(均一化)してしまっているので、効果が薄くなっています。

情報社会の弊害?

インターネットが普及し、物を販売するのに顧客と対面する機会が大きく減ってしまいました。

顧客が得た情報の大部分は、デジタルによるものです。当然、各社こぞってデジタルマーケティングに注力しました。

その結果、「視覚」と「聴覚」を活用したマーケティングは他社との差別化が難しくなってきているのです。

センサリーマーケティング

人間には5感と言われる感覚があります。消費者の感覚に影響を与えることにより、知覚・判断・行動に影響を与えようとするマーケティングを「センサリーマーケティング」と言います。

決してデジタルマーケティングの対にあるものではありません。

ただ、視覚と聴覚のマーケティングがコモディティ(一般)化しており効果が薄れている中、他の感覚に訴えることは必要ですね。

その中でも、嗅覚は視覚に続いて二番目に印象に残る有効なマーケティングツールなんです。

嗅覚、香りといえば思い出すのはアロマテラピーですね。

アロマテラピーは個人が楽しむもの?

アロマテラピーの身体に及ぼす影響は、すでに色々な研究で立証されていますし、実際に使っておられるかたも多いでしょう。

精油も色々なところで販売されていますし、色々なものに使われていたりします。

ただ、何故か日本では 個人の楽しみの域に留まってしまっているような気がします。

欧州では薬として用いられている

アロマテラピーは大きく分けると、医療的な見地から発展したフランス系の「メディカル・アロマテラピー」と、美容的側面の強いイギリス系の「エステティック・アロマテラピー」に分けられます。

フランスなどでは、アロマテラピーは医療行為として医者がきちんと対応しています。
精油は医薬品として扱われ、薬局でしか販売出来ません。

日本では、アロマテラピーはエステティックサロンなどの美容分野から広まったこともあり、精油は雑貨扱いです。
安価な合成品も高価な100%天然物も、同じ精油として一括に売られている状態なので気をつける必要があります。

しかし、マーケティングツールとしては、実はもう随分前から使われているのです。ご存知でしたか?

アロマテラピーのビジネス利用

アロマテラピーがマーケティング、ブランディングとして利用されている例をいくつかご紹介します。

コーヒーショップの前を通ると、良いコーヒーの香りがしますね。いつもコーヒーを立てているのでしょうか?

わざとコーヒーの香りを漂わせて、通る人がコーヒーが飲みたくなるように仕掛けているのは有名な話です。

映画館のポップコーンはどうでしょうか。何故多くの映画館でポップコーンが置かれていると思いますか?
映画好きは統計的にポップコーンが大好き・ではないと思います。ポップコーンの匂いと映画館(映画)を連想させているのです。

車の新車の匂いもそうですね。本当は新車の匂いなんてないらしいです。新車をイメージさせることで購買に結び付けているのです。

企業の消費者へのアプローチ事例

ラスベガスのカジノで香りの効果に関する実験が行われました。香りの有る無しが、スロットマシンの売上に影響するのか?という実験です。

数週間の実験の結果、心地よい香りがあった方のスロットマシンは、香りが無い方のスロットマシンと比べ、45%も売上が高くなっていたことが判ったのです。

こういった研究は海外では多く行われており、香りの効果が証明されています。

実際に海外では、多くの企業が、香りを使った消費者へのアプローチを行なっています。

たとえば、ディズニーランドのチュロス、
実はディズニーランドも匂いによるブランディングをしています。甘い香りを漂わせることで、チュロスを連想させ、食欲と購買意欲を刺激しています。

イギリスの日用品販売店「スーパードラック」では、
バレンタインが近づくと、店舗にチョコレートの匂いを漂わせ、消費者のバレンタインデーの記憶を喚起させています。

 

ロンドンの地下鉄は、
混雑しているホームにはマドレーヌと呼ばれる新鮮な香りを漂わせます。人と人の距離が近くなり、体臭を気にすることがないようにだそうです。

 

北ヨーロッパのスーパーでは、
出来立てのパンの匂いをダクトを使って入口付近に流すことで、パンだけでなく、他の商品まで売上を上げることに成功しているそうです。

それだけではない『香り』の使い方

販売行動に香りを活用することも有効的ですが、他社との差別化を図るためには、ブランディング(企業価値の向上)のために『香り』を使うことが重要です。

ブランドは視覚だけで差別化を図ることでは難しくなってきているのです。

視覚に訴えるものは模倣しやすいですね。

ところが、他の感覚は模倣されにくいのです。特に嗅覚は、人が視覚の次に認識出来る感覚で、微妙な違いを感じ取ることが可能です。

反対に言えば、レシピを隠しておけば、なかなか微妙な違いまで香りを模倣することは難しいのです。

ブランドと消費者の間に『感覚的な繋がり』を確立することで、消費者は商品ロゴを取り除いても、あなたの会社を認識することが出来るのです。

企業ブランディングに『香り』を用いている事例

有名なのは、ANA(全日本空輸)です。
ANAは、「先進的」「元気」というイメージを利用客が持っているということから、ミントやローズマリーなどのハーブをブレンドし、このイメージに合った香りを製作し、ラウンジ、おしぼり、機内で配るアロマカードに使用しています。

最近はこの香水を機内販売までしているそうです

箱根の富士屋ホテルは、ホテルのコンセプトである「もう一つの我が家」にちなみ、ヒノキやローレル、タイムといったウッド系の香りをブレンドして、「癒し」と「くつろぎ」を表現した香りを使用しています。

結果として、婚礼実績が上がったり、お客様とのコミュニケーションが活発になったりしています。

その他にも、LEXUS(トヨタ自動車)やSHIPS、CANONのショールームなどでも使われています。

センサリーブランディング

匂いはイメージ、感覚、記憶、連想 を喚起します。
匂いは気づいている以上に大きな影響を与えるのです。

ブランドと消費者の間に感覚・感情的な繋がりがあることは、ブランドの差別化に大きく影響します。

ロゴを取り除いても、消費者はあなたの企業やあなたの企業の商品だとわかるでしょうか?

視覚情報に溢れ、差別化が難しくなっている現在において、視覚以外の差別化を図っていくことが重要となってきます。

センサリーブランディングとは、ブランドを構築するために、五感に訴求した取り組みのことです。
先程の企業事例にもありますが、自社のイメージ、理念、戦略 といった概念な沿って、ブランド自身の個性を作り上げていくことが、事業を成功に導くための、ひとつの方法だと思います。

香りを選ぶ

精油の種類は数多くあります。もしあなたがアロマテラピーの経験に乏しければ、ベーシックな精油から始めることをお勧めします。
もしくは、プロフェッショナルに知恵を授かることが良いと思います。

もし、単体の精油であなたのブランドイメージを作るとすれば、

・森林のような香りでさわやかな木々のイメージを狙うならば「サイプレス」「シダーウッド」「シベリアモミ」のような精油を

・柑橘系の爽やかさでブランドイメージするならば、「グレープフルーツ」「ベルガモット」「ライム」などを、

ただし、「グレープフルーツ」には食欲減退効果があるので、飲食店には不向きですが。

いくつかの精油をブレンドしてブランドイメージを出すには、少しテクニックが必要です。

精油によって香りの強さや持続性が異なりますので、そういったことにも注意しながらブレンドしないと、すぐに香りが消えてしまう、後から違う香りがしてきた、などの事態に陥ります。

精油は香りの持続性によって(トップノート)(ミドルノート)(ベースノート)に分かれますので、そういった性質を理解してブレンドする必要があります。

そのほかにも香調やバランスなど気をつけるポイントが多くあります。ここではテクニックについて詳しくはお話ししませんが、独自の香りでブランディングするには少し勉強されるか、専門家に依頼される方がよいと思います。

それでも、労力に見合った効果は必ずあります。他との差別化をするにおいて、顧客にブランドイメージを強く印象付けるためにも是非導入してほしいと思います。

最後に、ご参考までに2014年度環境大臣賞を受賞された福島県「会津」をテーマとした作品『望郷の香り』のレシピをご紹介致します。

これは、まるで優しく私を包んでくれる祖母のような、自らの故郷を思いブレンドされたアロマだそうです。
もし機会があれば、一度試してみられてはどうでしょうか。

 

日本でも多くの精油を手にすることが出来ますが、精度はまちまちで、中には粗悪な合成商品も見られます。 精油は信頼の置けるショップで購入されることをお勧めします。
精油の効果は医学的にも証明されており、実は本当に有効なマーケティング手法なのです。
また、個人の自己プロデュースやストレスマネジメントにも使われていますね

 

 

AEAJ認定 アロマテラピーアドバイザー
西谷 佳之

 

『望郷の香り』レシピ

ジュニパーベリー 3
パチュリ     3
サンダルウッド・オーストリア 2
フランキンセンス 3
ラベンダー    3
ネロリ      2
北海道和薄荷   2
ローズマリー・シネオール   2

合計20(滴)

 

 

 

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西谷 佳之
大阪生まれ 神戸大学大学院経営学研究科修了(MBA) 大学卒業後地方銀行勤務。約10年 4ヶ店の銀行支店長経験後リレーション推進部地域創生室を経験し、大阪大学産学共創本部特任研究員として大学発ベンチャーの創生に関わる。 一方で、中小企業支援をライフワークとし、テイクオフパートナーズを立上げ。銀行ではほぼ全ての期間で法人取引を担当した経験や、支店長として着任したすべての店舗を業績表彰店に導いた手法とMBAの知識をもとに、個社別のコンサルタントや経営関連講演を行うことで事業サポートを行っている。 銀行の枠組みを超えた企業サポート手法のひとつとしてクラウドファンディングの可能性に魅力を感じ、クラウドファンディングを利用した事業サポートに注力している。 また、起業志向学生のサポーターとして大学発ベンチャー創生にも携わっている。

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