MBA ファンディングアドバイザー®西谷佳之

金融機関経験を活かした中小企業の創業・経営支援

SNS マーケティング

西野カナ マーケティング作詞手法が今になって炎上するのもマーケティングだとしたら

更新日:

2018年11月25日放送の『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)に西野カナさんが出演。自身の作詞手法を大公開されましたが、直後からSNS上では賛否両論が巻き起こりました。

西野カナさんの作詞手法

西野カナさんの作詞手法は以下の手順だそうです。

① 曲のコンセプトを決定
作曲家から届いた曲を聴き、そのサウンドのイメージに合うテーマの企画書を作って、スタッフと練って行きます。

② 登場人物の詳細な設定
テーマに応じた人物の性格や年齢層などを細かく決めます。

③ 友人&スタッフにアンケート調査
リアルな恋愛体験や言葉遣い、共感できるかどうかなどをリサーチしてそれらを歌詞に反映。ひとつの物語として歌詞を完成させます。

主な流れはこのような感じです。

これを聞いた視聴者からは、「ネタ集めだ」「自分の体験じゃないのか」といった批判が殺到しました。

たしかに、そういった想いを持たれてしまう可能性はあります。『西野カナ』というアーティストに自分を投影している人からは、それこそ裏切りと取られるのでしょう。

しかし、実際のところ、そんなに実体験だけでいくつも歌詞を書き上げられるほど経験が豊富な人物って、どれだけおられるのでしょうか。

有名な作詞家の方なんて、何百曲も書いておられるはずですが、それが全部実体験だとすれば、それはもう、波乱万丈すぎる人生を歩んでおられるということになりますね。
たしかに、どこかでは解っているが 本人の口からそれを聞きたくはなかった という気持ちは十分に理解できますが。

このポイントは後ほど取り上げるとして、まずは西野カナさんの作詞手法を見てみたいと思います。

西野カナさんのマーケティング

西野カナさんの作詞手法は、基本的なマーケティング手法です。そしてライティングの手法も使われています。

具体的には

・マーケティング リサーチ

・ペルソナ マーケティング

・ストーリー テリング

などですね。

マーケティング リサーチ

これは企業などが商品販売のときに行う一般的な手法です。
ビジネス目線でメリットを見てみると

顧客に好まれる商品提供が可能となる:リサーチによって無駄なコストを省き、効率良く消費者にとって好ましい商品提供が可能となります。

顧客もより良い商品を受け取ることができる:企業があらかじめリサーチしてくれることで、商品が前もってニーズに沿った形となります。

といったことが挙げられます。

リサーチの手法には、アンケート調査電話調査郵送調査グループインタビューなどがあります。
西野カナさんの場合はグループインタビューが多そうですね。

最近ではクラウドファンディングを使ったリサーチも注目されています。

今後、クラウドファンディングでリサーチした歌なども出てくるかもしれませんね

ペルソナ マーケティング

ペルソナ マーケティングとは、「架空の消費者(ペルソナ)」を詳細に設定して、そのペルソナに刺さるように商品開発やプロモーションを行う手法です。

西野カナさんは、登場人物の性別、年齢、趣味、住所、家庭環境などまでリアルに細かく設定した上でストーリーを仕上げていくのだと言います。

まさにペルソナ マーケティングですね

ペルソナ マーケティングでは、漠然とした消費者ではなく、かなり詳細な消費者の設定が必要とされます。

明確な消費者像を設定することが、逆に消費者に向けて一貫したメッセージや価値の商品、サービスを提供することになり、そうすることが、逆に多くの人の共感を得ることにつながるのです。

【27歳】【独身女性】【文京区に暮らしている】【ヨガとスポーツに凝っている】というペルソナを設定し、成功したカルビーの「ジャガビー」などが有名な例ですね。

ストーリー テリング

これはライティングの手法です。
ストーリー テリングとは、データから得られたインサイトを、映画や本のようにストーリーを組んで伝えることで、わかりやすくし、受け手の興味を引き起こす手法です。

この手法はニューヨークタイムズが得意としていましたね

ストーリー テリングの効果としては、イメージを伝達できることで共感度が格段にアップし、記憶に強く残すことができるということです。

 

このように西野カナさんは、共感を得るための手法をうまく使い 歌詞を作り上げているのです。

ミュージシャンでもマーケティングは常識

このようなマーケティング手法は、西野カナさんに限ったことではなく、程度の差はあれ多くのミュージシャンが行っているのです。

本人主導か事務所(スタッフ)主導かは別にしてですが。
実際、コブクロさんなんかもマーケティングを行っていることを公に話されています。

実は西野カナさんは、数年前から すでに何度もこの話をされています。NHKの対談番組やスポーツ新聞向けに、またマツコデラックスさんの著書にも取り上げられたりしています。

新たなマーケティングの可能性

では、なぜ今になって、すでに既知の話に こんなに批判が起こったのでしょうか。

これはあくまで推測ですが、可能性として、これもマーケティングなんじゃないでしょうか。

SNSが媒体の主流になるにつれ、新たに注目されるマーケティング手法も多く出てきました。今回のケースにおいて想定されるマーケティング手法について取り上げてみましょう。

バズ マーケティング

その一つがバズ マーケティングと言われる手法です。

「バズる」とは、英語のBuzz(バズ)が語源で、「ガヤガヤ言う」「噂になる」という意味があり、そこからSNS上で短期に集中して取り上げられることを指すようになりました。

バズ マーケティングとは、一時的にインパクトの強い宣伝を行うことで人の関心を集めるマーケティング手法の一つです。

バズ マーケティングを行うことによって、多くの人から短期的な関心を集めることができ、今まで商品やサービスを利用したことの無い人に対しても宣伝を行うことが出来ます。

有名大手食品メーカーのマーケティング担当役員にお話を伺う機会があったのですが、なんとその企業は意図してバズ マーケティングを行っているそうです。たしかにエッジの効いたCMを数多く打っておられます。

バズ マーケティングはインパクトの強さを狙うが故に、うまくいけば大成功しますが、着眼点を見誤ると大炎上してバッシングの対象となり、イメージダウンも免れないことにもなりかねませんので、じつは綿密な計画と早急な撤退の判断力が必要です。

バズ マーケティングの具体的な例としては

CMのタブーを破り、コカコーラとの比較アンケートをCM上で発表したことでうまくバズらせたペプシコーラ

「携帯代一生分無料」というインパクトの非常に強いキャンペーンでバズらせたソフトバンク

などがあります。

さらにもっとリスクの高いSNSマーケティング手法があります。

炎上マーケティング

これは、最初からSNS上での炎上(良い意味で注目を集める「バズ」とは異なります)を目的として行う手法です。

バズ マーケティングよりも直接的で、さらにリスクが大きい手法となります。

最初から批判や感情的な反応を呼ぶような言動をあえて行うことで注目を集め、知名度向上や売り上げを増加に転換させようとする手法です。

炎上マーケティングは短略的なマーケティング手法であり、最悪「社会的なモラルが低い」としてレッテルを貼られる可能性があるため、その後のイメージをも危うくさせるという危険性もはらんでいます。

しかし、成功すれば大きな効果を発揮します。

炎上マーケティングの具体例として有名な事例は、2010年にルーマニアのチョコレートメーカーが起こした騒動です。
ルーマニアの国旗がデザインされていた「ROM」という伝統のチョコレートはパッケージがダサいと言われ売上は低迷していました。
そこで、メーカーはパッケージをアメリカ国旗に変えると発表したのです。当時の国内事情もあって、多くの人の反感を買い大炎上し、ニュースでも大きく取り上げられました。
しかしメーカーは数日後に『パッケージの変更はジョークであり、皆さんの愛国心が再発見された』という旨の発表を行った結果、売上はV字回復し、カンヌ国際広告祭の2部門でグランプリを獲得するにまで至ったのです。

また、2017 年5月に起こったジョンソン&ジョンソンの「ムーニー」のCMも大炎上したことは記憶に新しいですね。これは企業がどれだけ批判を浴びてもCMを取り下げず、短期的にはダメージがあったかも知れませんが、長期的に企業イメージを高める結果となった事例です。

このように炎上マーケティングはそれだけを狙ってするにはリスクが非常に高いマーケティング手法ですが、成功した場合に得られる果実は非常に大きいといえます。

なぜ今になって批判が起こったのか

 

西野カナさんの話に戻りますが、これらの一連の流れで思い当る事例は、過去に大きく取り上げられた「暴露本」事件です。

芸能界、歌謡界 いくつもの暴露本が出ましたが、一番近いと思われるのは「プロレス暴露本」事件です。

プロレスには筋書きがあった!というやつですね。この件については、改めてブログにしょうと思っていますが、これは企業側が狙って行ったマーケティングだと言われています。

このケースも今回同様、プロレスラーは世界最強だと思っていたファンの夢を打ち砕いたわけですが、実はそういったマニアのファンからの脱却を図った戦略であったのです。

マニアだけでは市場がどんどん狭くなってくることが推測された結果、既存顧客から新しい顧客へターゲットを移行したわけです。

それが今回の西野カナさんのケースにも当てはまる可能性があるのかも知れません。

新しいファン層の取り込み

それが西野カナさんサイドになぜ必要なのかは全くわかりませんし、そもそも必要でないことも十分考えられます。

しかし、今になって批判が起こったことには少し違和感がありますね。

実際に歌詞も曲も他人が作ったものを歌っておられるミュージシャンは山ほどおられます。そのミュージシャンのファンの方には 彼らの歌が作詞家の実体験かどうかなんて関係ないですよね。

では、歌詞が歌手本人の実体験であるかどうかでファンは異なるのか?自身で作詞していない人歌手のファンとは共感するポイントは違うのか?

そう考えたので今回のブログでは、共感ポイントが異なるのだとしたら、もしかしたら批判を出すことが戦略なのかも知れないという仮説を立て、西野カナさんが使っておられるマーケティング手法に加え、バズ マーケティングと炎上マーケティングという2つのSNSマーケティング手法について紹介をさせていただきました。

 

これから、いろいろなことが変わっていく中で、アプローチ方法もどんどん変えていく必要が出てきます。
普通じゃないことが、当たり前になってしまうこと。これが普通になってしまうのかも知れませんね。

常に変化していくことでしか見えない景色がマーケティングに必要なのですね。

 

 

 

 

 

 

 

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西谷 佳之
大阪生まれ 神戸大学大学院経営学研究科修了(MBA) 大学卒業後地方銀行勤務。約10年 4ヶ店の銀行支店長経験後リレーション推進部地域創生室を経験し、大阪大学産学共創本部特任研究員として大学発ベンチャーの創生に関わる。 一方で、中小企業支援をライフワークとし、テイクオフパートナーズを立上げ。銀行ではほぼ全ての期間で法人取引を担当した経験や、支店長として着任したすべての店舗を業績表彰店に導いた手法とMBAの知識をもとに、個社別のコンサルタントや経営関連講演を行うことで事業サポートを行っている。 銀行の枠組みを超えた企業サポート手法のひとつとしてクラウドファンディングの可能性に魅力を感じ、クラウドファンディングを利用した事業サポートに注力している。 また、起業志向学生のメンターとして大学発ベンチャーのサポートも行っている。

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