MBA ファンディングアドバイザー®西谷佳之

金融機関経験を活かした中小企業の創業・経営支援

BtoC マーケティング 戦略

広島カープの戦略から集客ビジネスの成功要因を読み解く② カープ女子

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カープ女子の実態

広島カープといえば、カープ女子が非常に注目されていますね。

何故急にカープ女子が増えたのでしょうか。

実は広島カープは、昔からレディースカープという女性のためのファンクラブを作り、女性ファンを育ててきていたのですが、そういった下地があり、女性ファンが溶け込みやすかったのかも知れません。

また、「広島カープの戦略から集客ビジネスの成功要因を読み解く①」のブログでもお話ししましたが、『ファミリーシート』や『びっくりシート』なども作ったことにより、ファミリーなどでの観戦が多くなったことも要因としてあると言われます。

しかし、もっとも特徴的なことは、カープ女子は最初、関東で急増したということです。

これには、さまざまな分析がなされていますが、『ふるさと』キーワードだと言われています。

まず、広島は全国でも地元密着、郷土愛の強い地域です。

実は広島県人会は東京でもっとも大きな県人会だそうです。

広島を出て、東京に住んでいたとしても、『ふるさと』への思いは強く持っています。
なので、東京在住の広島出身女性が「カープ女子」として東京で繋がっていったと考えられます。

カープ女子の出身地

しかし、分析してみると東京では、郷土愛が無いはずの、東京含む関東出身のカープ女子が多いのです。

たとえば、東京生まれの人は、いわゆる一般的な『ふるさと』という地域は待ちません。

『ふるさと』=「都会」では無いからです。

しかし、彼女達は『ふるさと』に憧れを持っているのだそうです。

彼女達はカープ女子というコミュニティに出会い交わることで、新しい『ふるさと』を持てることになるのです。

こういったメカニズムが働き、関東でカープ女子が増えたと言われています。

 

広島カープの戦略

広島カープの戦略もバツグンです。

関東のカープ女子に対して、無料でマツダスタジアムに招待するツアーを企画したりして、広島を実体験させる工夫をしています。

多くの球団は本拠地のあるエリアのみでマーケティングを行い、近くに住むリピーターのみを囲い込んでいます。

ところが広島カープのマーケティングは目線が違うのです。

マツダスタジアムへの来場者が増えていることや、前回のブログでもお伝えしましたが、広島カープがホーム以外の観客動員数1位である理由はこのマーケティングにあるのですね。

プラットホームビジネスや、集客ビジネスにも言えることで、目の前のターゲット顧客のみに目を向けていると、ビジネスが大きくならない事に加え、必ずレッドオーシャン化した市場で戦うことになってしまいます

常にターゲット顧客を広く捉え、自らの主戦場以外でも戦える形を作っていくべきだと思います。

重要な「東京を中心とした関東」へのアプローチ

また、関東以外の方々は、特に関東の顧客をどう取り入れるかを考える必要があると思います。

やはり、関東、特に東京は日本経済の中心で、人も集まっていることから、マーケティングやファンディングなど、あらゆる戦略における効果の桁が異なります。ビジネスする上で必ず意識しておく必要があります。

そのためにも『ふるさと』を上手くビジネスに組み込んでいくことも必要だと感じます。

『ふるさと』は一つのコミュニティです。

実はコミュニティはどんどん無くなってきているのです。
村、隣組制度や町会、寺を中心とした檀家など、昔はそれこそ個人の生活より優先されたコミュニティがどんどん廃れています。

その強制性や責任の重さが受け入れられなくなって、廃れてきたわけですが、だからこそ、逆に今、特に若い年齢層は自分達だけのコミュニティを欲しているのです。

コミュニティの提供は多くのビジネスにとって非常に有効な手段です

飲食を一社が一括経営することでホームゲームの魅力がアップ

少し目線を変えてみましょう。

マツダスタジアムの経営で、おそらく他球団と大きく違うところは、球場内の飲食店が一括経営されていることだと思います。

野球観戦に行けばよく見られる
「マクドナルド」
「ケンタッキー」
「スターバックス」
といった有名チェーン店がマツダスタジアムには全くありません

その代わり、趣向を凝らしたメニューが豊富にあります。
主力選手の名前の入った食品ばかりではありません。その時々で活躍した選手や裏方、野球以外の社会風刺的なものまで。

一括経営ですから自由に作れますね。
動線を考えた店舗・商品の配置なども、球場全部が一つの売り場なのですから、スタジアム全体を見据えた配置ができます。

大手スポンサーとの関係などが強い他球団はおそらく真似が出来ないでしょう

自由度も強みですね。
食でもマーケティングが出来るのです。

余談ですが、球場に訪れた人に渡される特別グッズにも特徴があります。
一般的には、オリジナルのキャップやユニフォーム、タオルであることが多いのですが、
広島カープ、2018年「赤いシリーズ」では、毎回異なり、

「デビルカチューシャ」
「ユキヒョウのしっぽ」
「赤傘2018」
「ウサギカチューシャ」
「カエルカチューシャ」
「キリンカチューシャ」

とあまり野球に関係のない、女性向けのユニークな商品がプレゼントされました。
どれも可愛くコンプリート意欲をそそります。これも独自戦略ですね。

多くのスポンサーをつけるのも良いのですが、自由に戦略を打てるようにしておくのもプラットフォームビジネスの秘訣です。

そしてこの戦略は、カープ女子の「ふるさと感」をさらに深めることに繋がっています。

一体感を演出

実は他球団では出来ない難しい手法なのです。一括経営だから出来るワザです。

マツダスタジアムでは、ビールの売り子のユニホーム、実はすべて同じユニホームです。

なぜなら一括経営ですから。

そして5回には、全売り子が一斉にタンクを下ろし、おなじみのダンスを始めたりします。
そしてそれは球場に来ているファンをも巻き込んで行くのです。

キリンの売り子とアサヒの売り子、サントリーの売り子 全員が同じユニフォームで同じダンスをする。
おまけに商売を全て中断して。

他球場ではあり得ませんね

広島に行くことで、ふるさとに行くことで初めて得られる地元の人々との一体感なのです。

これは観戦の一つの楽しみになっています。

『一体感』は集客に非常に重要な要素のひとつです。

『一体感』を作り出すことが集客の秘訣です。

ジャニーズ方式

広島カープは、若手をどんどん起用します。

たしかに親会社を持たない広島カープが資金力に乏しかった時代では、有力選手はFAなどで出て行ってしまいました。
そういう時は若手を活用するしかありません。

そういった環境を逆手にとったのが、広島カープの戦略です。

ボールパーク建設なども含め、戦略的に選手との距離をどんどん縮めているのです。

・選手との物理的な距離
・グッズによる物質的な距離(タイミングを見極めたスピード感のある、ファンを絞ったグッズをいくつも出して)
・イベントなどによる実質的な距離

これらを得られる機会をどんどん提供しています。

特に女性をターゲットとした場合、若いお気に入りの選手をずっと応援し、その選手が1軍に入り、主力となるまで見届ける機会を与えることは、ビジネスとして強力な戦術です。

「見つけた!」「育てた!」という感情は、他と違う自分だけの特別感なのです。
あこがれの選手から与えられる「受動的な感情」ではなく『能動的な感情』がファンを引きつけるのですね。

広島カープのファンは、他の球団のファンと違い、負けていても最後まで残るファンが非常に多いそうです。

勝敗より大切なものがそこにあるのですね。

まさにジャニーズの手法です。

温泉歌手なんかもそうで、お気に入りの歌手をメジャーにさせてあげたいと、どんどんお金を使う奥様方がおられます。

このような手法は上手くターゲットと機会を設定すれば、プラットホームビジネスや集客ビジネスにも応用可能ですね。

広島カープ大躍進の理由はジャニーズ方式

広島カープは2016201720183年連続セリーグ優勝を勝ち取りました。

マエケンが抜け、黒田が引退し、新井が引退するなど主力級の移動がある中でも
若手がどんどん育ち、ヒーローが次々生まれています。

来年度より丸選手が巨人に移籍しますが、すぐに新たなヒーローが出てくるでしょう。

なぜなら、このジャニーズ方式は選手のモチベーションにも繋がっているからです。

自分を新人の時から応援してくれるファンが喜んでくれることで、どんどんやる気が出てくるといいます。

また、第①話のブログでもお話ししましたが、活躍するごとにTシャツなどのグッズが販売されます。
その売り上げ額やスピード、個別の名前がついた弁当などの売り上げ数なども、当然モチベーションのバロメーターとなります。

個人の人気がフィードバックされる仕組みが他の球団より多いのです。
地元企業とのコラボ商品にも、人気が出て来れば名前をどんどん使ってもらえます。

こういった仕組みが、選手のモチベーションを上げ実力が上がっていくのだといいます。

実店舗やプラットフォームにおいても、従業員のキャラを立てて顧客に選択させるといった手法をつかっても良いかもしれませんね。

プラットホームビジネスに活かすべき、広島カープの戦略

このように、広島カープの戦略はプラットホームビジネスや集客ビジネスにとって非常に参考になります。

いかに、1対1 のB2Cから意識を変えるか
1本スジは必要だが、いかに多くの人が訪れたいコミュニティを提供するか。
どれだけ垣根を低く出来るか。
といった感じですね。

やはり、わくわくするプラットホームをいかに作り上げるかだと思います。

遊びをどれだけ入れ込むことか出来るか

つまり、プラットホームは遊びゴコロを多く入れ込むことで、警戒心が無くなり好奇心を掻き立てることが出来るのではないてしょうか。

 

カイヨワという博士が遊びの類型という研究をされています。

遊びとは4つの類型で表されます

・アゴン(競争)[スポーツなど]

・アレア(偶然)[くじ じゃんけをなど]

・ミミクリ(模倣)[演劇 カラオケなど]

・イリンクス(めまい)[ジェットコースターなど]

これらがあれば、人はワクワクするということです。

もちろん、マツダスタジアム建築時にも参考にされました。

ビジネスに置き換え、顧客に与えるべきものをここから考えると

・優越感

・サプライズ

・共感(一体感)

・実体験

ということなのではないでしょうか。

上手くいっているプラットホームには必ずどれかが入っていると感じませんか?

これらの4を顧客に提供出来るプラットホームを作ることが魅力的なプラットホームになるのではないかと思います。

 

①マツダスタジアム編もご参考に

広島カープの戦略から集客ビジネスの成功要因を読み解く① マツダスタジアム

いかに集めるか 実店舗を運営するばかりでなく、ネット上でSHOPを展開する、プラットフォームを運営するなど、 多くの事業でいかにカスタマーやオーディエンスを集めるか、その中からいかにリピーターであるフ ...

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西谷 佳之
大阪生まれ 神戸大学大学院経営学研究科修了(MBA) 大学卒業後地方銀行勤務。約10年 4ヶ店の銀行支店長経験後リレーション推進部地域創生室を経験し、大阪大学産学共創本部特任研究員として大学発ベンチャーの創生に関わる。 一方で、中小企業支援をライフワークとし、テイクオフパートナーズを立上げ。銀行ではほぼ全ての期間で法人取引を担当した経験や、支店長として着任したすべての店舗を業績表彰店に導いた手法とMBAの知識をもとに、個社別のコンサルタントや経営関連講演を行うことで事業サポートを行っている。 銀行の枠組みを超えた企業サポート手法のひとつとしてクラウドファンディングの可能性に魅力を感じ、クラウドファンディングを利用した事業サポートに注力している。 また、起業志向学生のメンターとして大学発ベンチャーのサポートも行っている。

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