MBA ファンディングアドバイザー 西谷佳之

金融機関経験を活かした中小企業の創業・経営支援

クラウドファンディング ビジネスモデル

これから始めるクラウドファンディング、Eコマース化の影響をどう読むか?

更新日:

クラウドファンディングの危機?

クラウドファンディングがどんどん変わってきています。

というか日本独自の形になりつつあると言っていいかも知れません。
特に購入型クラウドファンディングでは多くのサイトがネット上に溢れ、
市場はレッドオーシャン、事業者側は疲弊してきています。

すでに業界内M&Aも起こっていますね。

レッドオーシャン市場では、コモディティ化(一般化)してしまったプロダクトの
「同質的差別化」が繰り返され、価格競争に陥りやすいのですが、

手数料を下げて攻勢に出たCAMPFIREが逆に手数料を他社並みに引き上げるなど、
現在は各事業者とも同程度の手数料率となっています。

なぜなのでしょうか? 前述のCAMPFIREなどは決算公開していませんのでわかりませんが、
多数の事業者の決算は芳しくないことからみて、損益分岐点ギリギリなんだと推測されます。

プロジェクトを起案する方からすれば、集まった資金の2割近い手数料は高いと思うんですけど。

プロジェクトの内容が変わってきた

「単なるネット販売プラットフォームになっている」

そういった声が、ネット上ではけっこう上がっていますね。

「出来上がった商品や、輸入品などを販売するだけになっている」

と。

たしかに、購入型クラウドファンディングのプラットフォームでは、単なる商品販売が多くなっているような気がします。
(リターンも含めて・・)

リターン全て同じ商品で、早く支援するほど割引率が高いプロジェクトも多くあります。

最初の頃のように、こういった理由で、こんな商品をつくってみたいから、支援してください
といった企画モノが少なくなり、出来上がった商品の魅力だけで販売するようなプロジェクトが増えている気がします。

クラウドファンディングのお金集め(商品販売)以外の魅力が薄れているのでしょうか。

矢野総研の2017年の予想では

購入型クラウドファンディングのプロジェクト件数
1万3千件2016年)から2万件
51%増加であるのに対し、

プロジェクト金額の増加率は
62億円2016年)から80億円
27%増加と件数より少なくなっています。

つまりどんどん小口化していくということですね。

共感を得て大きなお金が集めるということから、単なる商品販売プロジェクトがたくさん出てきて
小口分散していく方向に変わっていくということでしょう。

商品販売だとストーリーで共感を得ることが難しいこともあるのか、
購入型クラウドファンディングのプロジェクトはどんどんテクニック化してきています。
目標金額が小口になるのもその一つで、達成率を上げて注目を集めるためともとれます。

マーケティングに使うよりも、いろいろな手法を駆使し、とにかく注目を集め、支援者を集めることに特化したプロジェクトが成功しているのです。

新しい商品を考えているから、市場の反応をみてみよう。一旦やってみて、ターゲット層を絞ろう。などといった試みなんてしている余裕はありませんね。

プロジェクトを開始しただけでは、支援はもうほとんど集まらなくなっているのかも知れません。

『夢』が無くなったクラウドファンディング

クラウドファンディングは、まだ商品化されていない、もしくは日本での販売が決まっていない商品を扱う というハズだったのです。

だから、クラウドファンディングが上手くいかなければ、その商品はもう二度と手に入らないハズだったのです。

ましてや、クラウドファンディングが成功したからと言って一般販売に繋がるかどうか保証もない。
クラウドファンディング自体を発売前のマーケティングやプロモーションと位置付けている場合は、この傾向にありました。

そして、本来クラウドファンディング業者は、そういった商品以外は扱わなかったはずなのですが、だんだん、Eコマースと変わらなくなってきてしまっています。ちょっと探せば普通に手に入る商品がクラウドファンディングに出てきています。

なぜでしょうか?

クラウドファンディング業者はプラットフォーム上で資金が集まれば集まるだけ、売上につながります。レッドオーシャンと化しているクラウドファンディングプラットフォームはプロジェクトの取り合いです。
どうしても、審査が甘くなってしまうのは仕方がないのかも知れませんが、モラルハザードが起こっているのだと思われます。

スルガ銀行事件に似た感じかも知れません

クラウドファンディング業者のみの問題ではない

Eコマース化している要因として、クラウドファンディング業者のモラルハザードも一因ですが、

それらの根本的要因は、日本では購入型クラウドファンディングはお金集め(販売ツール)として取り扱われていることだと思います。

クラウドファンディングを取り上げる多くのサイトやハウツー本においても、マーケティングの話はしているものの、やはり「売れる」「お金が集まる」という言葉を多用し、プロジェクト終了までのことのみに焦点をあてているのが殆どです。

何故でしょうか?

そうするほうが売れるからでしょう。購読が増えるからでしょう。それが一般的なニーズなんだと思います。

日本の書店では、クラウドファンディングの書籍は、海外のようにマーケティングのところにあるのではなく、今でも資金調達のところに置いてあります。

集めたお金の2割近くを手数料として取られてしまい、さらに他の費用もかかるとなれば、お金集めの妙味が薄いような気もしますが。
しかし、単に製造ラインに乗った商品販売や仕入販売、輸入販売(リターンも商品が主)とするなら、利益率も送料も手間もわかってるので、採算ベースに乗せることは可能ですね。

そのまま販売サイトに

さらに、プラットフォーム上で商品販売を行う業者も出てきました。

たしかに、他のプラットフォーム業者との差別化になると思います。プロジェクトに出した商品を、プロジェクト期間が終わったらそのまま売ってもらえるのは、プロジェクト起案者も有難いと思います。

えっ、

これって、Eコマースサイトと同じですよね。新商品を発売し、販売する。最初はプレミアムを付ける。

それを悪いとは思いませんし、ニーズがあるべき姿に変わっていくことは必要です。
(海外でもインディーゴーゴーなどが販売を行っています)

クラウドファンディングに抱いていた『夢』が薄れてしまったのは悲しいのですが。。

これからは、Eコマースサイトとの競争もでてきます。

クラウドファンディングサイトは魅力あるサイトだった件

今までの流れから、少し目線を変えて見ましょう。

マーケティングの神さまピーター・F・ドラッカーは、マーケティングについて

「マーケティングの理想は販売を不要にすること」

と言っています。

つまり、マーケティングは物が売れる流れを作ることだということです。

現在のクラウドファンディングとEコマースの変化の流れをWebマーケティングの結果だとした場合、購入者に現在求められているサイトと言うのは、両方が合致したサイトなのではないでしょうか。

Eコマースの出品者は、より顧客と密接な関係を求めてクラウドファンディングサイトに出品しているのだとは考えられます。

従来のクラウドファンディング起案者が変わってきているのではなく、本来Eコマースサイトに販売機会を求めていた業者がクラウドファンディングサイトに販売機会を求めるようになってきたのです。

傾向がEコマース風ならば、いっそ早くEコマース風にプロジェクトを変えていくのが一つの正解だとも言えます。

日本独自の変化が望まれるのではないでしょうか。

Eコマースサイトとも競えるようなプロジェクトに。

Eコマース出品者も、クラウドファンディングサイトで販売する方が支援という付加価値を付けれるので、十分メリットが見込まれます。

今後、Eコマースサイトが独自にクラウドファンディング(もしくは同様のもの)を自サイトで出来るようにすることも十分考えられますね。

すでに(株)KADOKAWAや(株)Relicが「ケツジツ」や「ENjiNE」といったクラウドファンディング型ECサイトを作っていました。

ただし、これらのサイトもあくまで購入型クラウドファンディングサイトの変形なので、Eコマース風プロジェクトを起案する場所ではありませんが。

となれば、クラウドファンディングサイトでEコマース風のプロジェクトを。。。

クラウドファンディングとEコマースの違いって、平たく言えば新しい商品かどうかだけ?

つまりは、マーケティングというよりテクニカルに販売特化しておけば、どちらにも対応できるということなんでしょうか。

きちんと知識を持った人にテクニックを教われば可能だと思います。

クラウドファンディングサイトで注目を集められれば、従来の顧客のみならず、Eコマースがサイトに連れてきた顧客も獲得出来るということになりますね。

いかに早く変化に対応出来るかがカギかも知れません。

特にWebに関しては、移り変わりが激しいので、いかに競争相手より早く変化に対応出来るかです。

エフェクチュエーションの考え方ですね

本当に変わる必要があるのはクラウドファンディングプラットフォーマーなのですが。。。

 

 

テクニックの一部はこちらのブログにも書いてありますのでご参考に。

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西谷 佳之
大阪生まれ 神戸大学大学院経営学研究科修了(MBA) 大学卒業後地方銀行勤務。約10年 4ヶ店の銀行支店長経験後リレーション推進部地域創生室を経験し、大阪大学産学共創本部特任研究員として大学発ベンチャーの創生に関わる。 一方で、中小企業支援をライフワークとし、テイクオフパートナーズを立上げ。銀行ではほぼ全ての期間で法人取引を担当した経験や、支店長として着任したすべての店舗を業績表彰店に導いた手法とMBAの知識をもとに、個社別のコンサルタントや経営関連講演を行うことで事業サポートを行っている。 銀行の枠組みを超えた企業サポート手法のひとつとしてクラウドファンディングの可能性に魅力を感じ、クラウドファンディングを利用した事業サポートに注力している。 また、起業志向学生のサポーターとして大学発ベンチャー創生にも携わっている。

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