MBA ファンディングアドバイザー 西谷佳之

金融機関経験を活かした中小企業の創業・経営支援

社会課題

なぜコロナウイルス感染は大都市で増えるのか ?

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コロナウイルス感染は再度拡大の傾向にあります。

特に東京、大阪をはじめとした大都市での患者数増加が目立ちます。

当然、人口が多く密集している地域ですので患者数が多いのはあたりまえなのですが、人口に対する患者割合、検査数に対する患者割合も大都市のほうが増えてきているようです。

東京都が公表している数値では、検査数(PCR検査・抗原検査)に対する陽性者の数は、6月1日には1.9%でしたが、検査数が増加しているにもかかわらず、7月28日時点で6.5%にまで増え続けています。

この数値は、一定数の中の感染者数を表しており、大都市では感染者数が増加し続けていることを示しています。

その要因として、地方にあって大都市に無いものが影響していると考えられます。

地方での問題

コロナウイルス感染症の発生に伴い、地方ではある問題が起きているといいます。

それはコロナウイルス感染した人に対するバッシング、そして大都市から帰省する人への明確な不快感なのです。

コロナウイルスに感染した人、およびその家族への地方での風当たりは厳しく、
地元に住み続けることが難しくなり、引越しを余儀無くされる方々も多いと聞きます。

また、大都市に住んでいる子供や孫が帰省すると、それだけで周りから嫌な目で見られたりするということも聞きます。

 

実際に、大都市に住んでいる方々は、ご実家(地方)での周りの目や評判を気にして帰省を見送る方も多いのでは無いでしょうか。

今帰省しては親や親戚に迷惑をかけると考えている人も少なくありません。

 

一方で、地方から大都市に移動したからといって、嫌な目で見る人は少ないと思います。

 

何故でしょうか

大都市での感染者数のほうが圧倒的に多いから?
それもあるかも知れませんが、もっと大きな要因があように思われます。

地方と大都市の大きな違い、それは人と人との繋がり、
コミュニティの有無です。

失われつつあるコミュニティ

 

特に日本人は集団で行動する人種だと言われています。

そのこともあってか、かつては多くのコミュニティが存在しました。

ところが、近年どんどんとコミュニティが失われているということが問題視されています。

 

子供の虐待が増えてきたのも、親が大変な時に周りで面倒を見たり教えたりする地域コミュニティが無くなったこと が要因だそうです。

 

人と人の繋がりが希薄になってきているのですね。

 

2014年3月に総務省より「今後の都市部におけるコミュニティのあり方に関する研究会」の報告が出ています。

全体的に地域関係は希薄化の傾向にあるが、特に近所付き合いの希薄化は都市部で顕著であり、地方圏では比較的残っている

と報告されています。

人と人の繋がりが面倒だと感じる人も多いとは思います。

世代が若くなるとその傾向が強いように見受けられます。

特に大都市では人と人のつながり、その煩わしさがコミュニティを無くしていくことに繋がっているのでしょう。

たしかに人と人の繋がり、悪く言えば監視が入ることで住み難さが増す部分もあると思います。

しかし、一方でそれらは自らを守るためにコミュニティが発揮する自浄作用でもあるのです。

 

コミュニティの自浄作用

 

地方においてはコミュニティが存在しているからこそ、良くも悪くも周りの目があることで人々の意識が高まり感染者が少なくなっていると言えるのです。

前述した近隣住民のバッシングなどがあることで、大都市の人と比べ

「コロナウイルス感染症にかかってはならない」

というプレッシャーが半端なく大きいのではないでしょうか。

 

感染者の地方へのコロナウイルスの持ち込みが、コミュニティによって抑制されているのです。

 

コミュニティからの抑制(コロナウイルス感染症患者への厳しい扱いなど)があるからこそ、人々はコロナウイルスに感染しないようにコミュニティから排除されないように立ち振る舞うのではないかと思います。

感染病状に対する危機感は変わらない

感染症に感染した場合の自分の体への影響についての認識は、地方も大都市も変わらないと思います。

自宅に籠もっているほとんどの人が報道で知る以外に情報が入らないからです。

未感染の人(特に若年層)のほとんどは、自分が感染した場合のリアルな症状について、重症の状態は想定していないように感じます。

若年層は大部分が軽症と言った情報に加え、「自分に限って」という意識が働くので、そこまで深刻に考えている人はあまり多くないのだと思われます。

また、大部分の人が 実際にかかったことが無い、経験が無い のでイメージしにくく、リアリティに乏しいのですね。

 

しかし、地方で見られるような、感染してしまった時に「周りの人から受けるであろう仕打ち」については、実感するに易く、容易に想像が出来ます

 

行動経済学のテーマの中で「利用可能性ヒューリスティック」というのがあります。

ひとは自分が以前に見聞きしたことなどから頭に思い浮かべやすかった事柄に影響されるというものです。

この場合、大部分の人は自分がコロナウイルスに感染した症状は具体的にイメージしにくいですが、仲間はずれやバッシングなどの状況は具体的にイメージしやすいので、そちらの状況のほうが影響を受けやすいということになります。

つまり、コロナウイルス感染リスクの認識は、仲間はずれやバッシングといったイメージしやすい事柄を持つ地方の人々のほうが圧倒的に高くならざるを得ず、これが大都市の人々と比べ、コロナウイルスへの感染に対する予防意識の差となり、感染者数に反映しているのだと推定されます。

 

感染症状より周りからのプレッシャーが怖いのかも知れませんね

 

大都市で感染に対するリスク認識が低い理由

一方で大都市ではそういったコミュニティが失われています。

隣の人がどのような人かも知らない人が数多くおられるでしょう。

つまり、隣の人が感染症になったということすら分かりませんし、自分がかかっても誰にもいう必要はありません。

地方のような「かかってはいけない」というプレッシャーには、大都市ではさらされないのです。

 

また、テレビからの情報に影響される部分も大きいと思われます。

ニュースで放映されるのは、どちらかといえばノーマルなことと逆の状況が多いと感じます。
つまり、自粛期間中なのに外に出ている人休業要請がされているのに多くの人で溢れかえっている店舗などです。

これらの情報は、自粛して自宅にいる人にとって現状を錯覚させることになります。

一人で自粛している人々は少なからず不安を持っています。
そして、その不安を取り除くために大勢の人と一緒に行動することを望むようになります。

これを行動経済学では群集心理(ハーディング効果)といいます。

周りの人々が外出している情報を入手すると、不安になり自分も外出したくなるのです。

またこの情報を「自粛している人は一握りで、大勢の人は外出している」と受け取ってしまえば、横並びの「ナッジ」(特定の行動に誘導されてしまうこと)が働き外出につながることもあります。

 

地方では自宅から出ることで周りの目があり、なかなか出れないですが、大都市では人との繋がりが薄く監視の目も無いことから、比較的外出しやすい状況にあります。

そうでなくても不安な中、街に出ている人達の姿を見ると、「もうみんな外出しているんだ。してもいいんだ」と思ってしまいますよね。

たとえそれがごく一部を切り取っただけの情報だとしても。

 

コミュニティからの抑制は大きな意味を持っているのですね

 

感染症対策を経済活動と並行して行うメリット

 

大都市に居住する人と、地方に居住する人の コロナウイルス感染症にかかってはいけないという意識の差はコミュニティがあるかないかで大きく違うことは前述しました

ただでさえ感染症が広がりやすい大都市で経済活動を再開すると、さらに感染症拡大していくと誰もが予想されると思います。

たしかにその可能性は高いと思われます。

 

しかし、経済活動を再開することで新たな感染症への抑止力が働くことになるのです。

どういうことでしょうか

大都市でも地方のコミュニティと同じ機能を果たしてくれるところが出くるのです。

 

それは会社です。
(学校も同じような機能を発揮すると思います)

 

会社感染症患者が従業員から出ると大変です。
営業継続にも関わりますし、風評被害を受ける可能性もあります。

自社から感染症患者が出ないよう、広がらないように最大限努力をします。

しかしそれでも感染症患者が出てしまった場合は、クラスター感染を避けるため、事業への影響を少なくするため、社内設備の消毒や、接触が疑われる人への検査など、あらゆる努力をするでしょう。

その一方で、感染してしまった人はどうでしょうか。

自分が感染したために、営業がストップする・社内消毒などで事務が止まってしまう・接触者は検査を受けるために隔離される・などが行われます。

社内の人たちは、当然わかってくれるとは思っても、心のどこかで感染した自分を恨むだろうと思います。

そのうえ会社からは感染した途端締め出されてしまいます。

そのプレッシャーは半端ないと思います。

そしてそのプレッシャーは、容易に想像が出来る(感じることができる)のです。

感染してはいけない、そうなったら辛い、会社にいられない、という気持ちが社員には目覚めるでしょう。

会社は地方のコミュニティが与えるプレッシャーと同様の圧力を社員に与えることとなり、社員は感染症への意識を高め、またそのことで会社は自らを守っていくのです。

社員はそのような状況にはなりたくないと思うでしょうね

日本が失いつつあるコミュニティを再考する

 

会社や学校はそこで働く人や学ぶ人に抑止力を発揮することになるので、一旦多くなってきた若者の感染は収まり、高齢者などの感染が再び高まってくる可能性があります

 

会社は抑止力を発揮することになるとは思いますが、やはり地方のコミュニティの抑止力にはかないません。

抑止力の影響範囲は1社ごとだからです。

 

全体を網羅するには、いろいろなコミュニティが重なり合って存在することが必要なのかも知れません。

時代に沿った、新たなコミュニティを創設し機能させることが集団行動を好む日本人には必要なのだと思います。

まずはコロナウイルス感染症に対する正しい知識を地方、大都市問わずきちんと身につける。

そのうえで、行動経済学のナッジなども上手く利用することで、従来のコミュニティに変わる新たな抑制手段を構築する。

(実際、政策としてナッジを取り入れて、税収の増加や、省エネを推進に成功している国も多くあります。)

こうすることによって、新しい危機管理の形が生まれるのではないでしょうか。

 

早く自由に行動できる通常の社会が戻ってくるよう 自分に出来ることをやっていきたいと思います

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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西谷 佳之
大阪生まれ 神戸大学大学院経営学研究科修了(MBA) 大学卒業後地方銀行勤務。ほぼ全ての支店で法人担当を任され、約10年 4ヶ店の銀行支店長とし全ての支店を業績表彰店舗に導くことに成功。その後リレーション推進部地域創生室を経験し、大阪大学産学共創本部特任研究員として大学発ベンチャーの創生に関わる。東京にてボードメンバーとしてベンチャー参画した経験も有す。 一方で、中小企業支援をライフワークとし、テイクオフパートナーズを立上げ。銀行での経験やベンチャー経験、MBAの知識をもとに、個社別のコンサルタントや経営関連講演を行うことで事業サポートを行っている。 銀行の枠組みを超えた企業サポート手法のひとつとして、購入型のみならず金融型も含めたクラウドファンディングを公的金融機関や補助金助成金と組み合わせるなどのファイナンスサポートも行なっている。 また、起業志向学生のサポーターとして大学発ベンチャー創生にも携わり、新しい事業創出の一助を担うことを目標としている。

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