※本ブログは2020年4月時点のものです。制度等は変更しておりますので必ずご確認ください。
新型コロナウイルス感染症特別貸付(日本政策金融公庫・商工中金)について、①のブログではこの融資が非常に支援性の高い融資であることをお伝えしました。
今回の②では、申請を行った後、実際に面談するときのポイントをお伝えできればと思います。
ただ、事業内容や企業業績等、担当者によっても審査ポイントに違いがありますので、
お示ししたポイント以外に個別に明確にしておく必要があるポイントもあると思いますが、
ここでは一般的に必要だと思われるポイント、実際に面談し、また面談された方々が質問されたポイントから、
特に必要だと思われるところを取り上げております。
ご参考になればと思います。
面談まで時間がかかるのは申込が殺到しているから?
いま借入申込をすると、地域によっても異なりますが、面談まで2週間〜1ヶ月が必要となります。(2020年4月17日現在)
申込が殺到しているので、面談するまで時間がかかる
たしかにそれもあります。この状況が続くと まだまだ増えるかも知れません。
しかしそれだけではありません。
実は、再面談・再々面談が多く、非常に多忙となっているのだそうです。
公庫の審査担当者の話では、
「現状の面談で資料が揃っていない場合が多く、何度も面談しなければならない事業者が多くなり、1社の審査に時間がかかり大変なことになっている」
とのことでした。
このことは、面談時にきちんと説明出来なければ再度面談があるということなのです。
一度で審査担当者に納得してもらうためにも、ポイントはきちんと押さえておく必要があります。
審査は別窓口
ポイントの説明に入る前にもう一つ
新型コロナウイルス感染症特別貸付の審査については、
すでに既存の担当者がいる場合でも、審査は通常担当者とは別担当者になる可能性が高いです。
(情報は共有されますが)
通常の融資とは目的が異なり、あくまでも国の施策に基づく融資、
企業支援性が高い融資だからだと言えるかも知れません。
(通常の融資担当者が審査を受け持つと事務量がかなり多くなってしまうことも要因かも知れません)
従って、事業の内容から説明したほうが理解してもらいやすいと思います。
当然、既存借入のある先については情報が共有されてはいますが、深い内容までは時間的にも難しいでしょう。
すでに日本政策金融公庫で借入をされておられる方についても、事業のあらましから話をすべきだと思います。
(事業のパンフレットなどあれば持参されると良いと思います)
特別枠の融資
また、経験から言いますと、特別枠の融資は若干審査が通りやすいと思います。
先述の通り政策的な一面があるからだと推測します。
決して融資案件として成り立っていないものまで通すということではないのですが、
なんとかして材料を集め、落とし所を見つけて通すというスタンスではないでしょうか。
なので再面談、再々面談となるのだと思います。
つまり、無下に断られることは無く、きちんと説明できれば手を差し伸べてもらえる融資なのです。
だから安心して面談に臨んでください!
ただし、全て希望額が通るということではありません。
通りやすい反面、減額の可能性も大きいのです。
目安となる融資条件について
審査担当によって若干の違いはあるかもしれませんが、
ある日本政策金融公庫の審査担当者によると、今回の融資額の目安は
月の固定費 ✖️ 半年分(6ヶ月)
だそうです。
固定費とは
「売上の増減に関わらず、一定して発生する費用のこと」
例:人件費 地代家賃 水道光熱費 減価償却費 保険料 など
つまり、売上があろうか無かろうか 毎月支払わなければならない費用のことですね。
返済期間と据置き期間の目安
さらに、返済期間と据置き期間です。
かなり有利な条件が付されていますが、審査の目安は
返済期間10年 据置き期間1年
のようです。
この条件に当てはまる借入なら、割とすんなり通ると言えます。
(設備投資などは別途加味してくれます)
ところが、これ以上必要な場合も多いでしょう。
気をつけなければならないのは、表面上決算書に出てこない固定費(実は売上と相殺しているなどで表面化していないが、実質毎月支払わなければいけない費用・役員貸付にしてしまっている費用など)や、年払い費用の月次換算、すでに支払いを止めたり減額している報酬などを忘れてしまうことです。
売上が減ることによって発生するロスや一時的な損失についても提示するべきです。
もう一度見直してみましょう。
これらを表面化し、きちんと固定費に加味してもらうための疎明資料が必要です。
期間に関しては10年以上となる場合。
据置き期間が1年以上となる場合
についても、その根拠を求められることになります。
ただ、根拠さえキチンと示せれば長期の借入も据置も大丈夫です
これらは、あくまでも目安なので、本当に必要な根拠のある額で申込されることが必要です
では「根拠」とは?
以下「面談のポイント」にてご説明します。
面談のポイント
『面談で何を聞かれるか、何が必要か』
特に初めて借入をされる方は本当に不安だと思います。
ここでは、実際に面談を行った方々からもお聞きして、必要だと思われるポイントをまとめてみました。
押さえておくべき点は、だいたい以下のようなポイントとなります。
・『売上減少の根拠』を明確にする
売上が減少した根拠を求められます。
まずは申告書の内容等が正しいかどうかの疎明資料が必要です。
試算表以外に、売上が入っている通帳や帳簿があると良いでしょう。
(実際のお金の流れがわかれば説得力が増します)
受注表(無ければ作成)に基づき、本来の売上見込みと、キャンセルになった売上、それらの乖離状況などを示せれば良いと思います。
疎明資料は必ずしも公的なものでなくても良いですが、実際に使っているものなどで説明するほうが説得力が増します。
そこまで厳しく見ないかもしれませんが、請求書や注文書、キャンセルメールなどで確認される場合もあります。
・『必要資金の根拠』を明確にする
これは、聞いている限りはそこまで詳細に聞かれるポイントではないようですが、もちろん確認されます。
特に先述の「月次固定費 ✖️ 6ヶ月」より多くなる場合は
厳しく見られる可能性が高いので、キチンと説明する必要があります。
商品販売でしたら、通常どれくらい在庫が必要かや外注支払いがどれだけあるかなどがわかる資料があると良いです。
6ヶ月後に通常通り商売再開出来たとしても、実際はそこから資金が入ってくるまでに時間がかかります。
今の取引先との取引条件の変更があれば必ず説明しましょう。契約書や発注書などで確認できます。
(通常月末締め翌月末現金支払いでしたが、コロナの影響で、翌々月末現金払いとなりました →1ヶ月分余分に固定費が必要)
また、事業の形態を変えた場合の取引条件の変化は説明すべき事項です。
売上回収だけでなく、仕入支払い日の変化も運転資金に影響してきます
売上の回収の一部をサブスクリプションとしたならば、会員が増えるまで固定費支払いが厳しくなるなど
は押さえておくべきポイントです。
契約書があれば契約書を、無ければ取引先の基本条件、もしくは業界の平均的な回収日数などを調べて必要な運転資金の説明をしましょう。
今回、事業形態を変えて新しく売上を生み出していく場合、おそらく取引条件が変わるのでそれに伴った運転資金が必要となるはずです。
在庫を多く持たないといけないケースや、カード主体となることから回収日数の変更や手数料の増加などあらゆる場面が想定されます。
それらを書面(根拠のある数字)でキチンと説明できれば良いと思います。
根拠のある数字とは、自分が勝手に出したのではない、一般に公表されているデータや内容、今までの実績をもとに出した数字ということです。
説明するためには必ず数字を示して説明しましょう。
設備資金なら、購入するものと、購入することによる効果などが説明できるようにしておく必要があります。
次の項目でも述べますが、設備投資(システム投資)することによって、
・どれくらいの投資で
・何時ぐらいから効果が出てきて
・順調にいった場合の効果はどれくらい(利益率が○%上がる、コストが○%改善される)
・生み出した利益によって、投資額はどれくらいで回収できる
といったことが説明できれば良いと思います。
新たなビジネスを導入する場合(ネット販売を始める・デリバリーサービスを始める など)も設備投資と同じ流れで説明出来ると良いでしょう。
・『売上回復の目処と返済の目処』を伝える
まずは、新型コロナウイルスの影響がなくなれば返済できるかということがポイントとなります。
今後の売上の見込みを示す必要があります。
ここはビジョンになりますが、売上をどうやって回復していくか(ここは資金使途とも繋がってきます)明確なビジョンと施策を示すことが求められます。
・このようにして売上を回復させる。
【毎月これだけの人数にアプローチする→過去の実績からみて△%の顧客獲得が可能→毎月⬜︎円の売上増加(→最終的にシェア☆%を目指す)】
【ネットでの販売を行うことにより売上を作っていく→まずは当店顧客リスト○名にアタックしこのうち⬜︎名程度からの購入は見込める→紹介キャンペーンにて顧客拡大を行う。かつてキャンペーンでの増加人数を踏まえると月々△%程度で広がっていく→新たな顧客数がこのペースで増えていくとして売上はこのように推移していく】
など
→さらに返済の見込みも伝えます
(毎月⬜︎円の売上増加→当初▽ヶ月は返済厳しいが、○月からは継続して返済が可能になる)
という流れで根拠ある計画を策定してください。
売上の根拠については、過去や周りの事例を参考にすると良いでしょう。
過去こんな施策を打って、これくらいの割合で売上が上がってきたのでこれくらいを見込むとか、
こういう施策を打つと、他社事例からこのターゲットに刺さると考えられる。ターゲット人数がこれくらいなので、このうち当社シェアが○%、なのでこれくらい売上が上がる。
といった数字を伴った説明をすれば納得性が得られると思います。
(どうしても難しければ、過去の業績推移に基づいて、「今までこのくらいで増えていったので、今回も事態が収まれば同様の伸び率となる」といった説明でも理解はしてもらえると思います)
細かいポイントは案件によってそれぞれ異なり、たくさんあると思いますが、特に上記の3ポイントは押さえておき、説明資料を用意していった方が良いと思います。
実面談と電話面談
最近話を聞いていると、電話面談で終わってしまう方も多いようです。
どちらがいいとは言えませんが、電話面談はすでに日本政策金融公庫でお借入のあられる方が多いと感じます。
すでに内容がわかっているということなのでしょう。
申請者が多く、すべて面談していると捌き切れないのかもしれません。
クラスター防止のために電話面談に切り替えているという理由もあると思います。
しかし、電話面談は簡単な反面、説明が難しいというデメリットがあるように思います。
おそらく、審査担当者はすでに入手済みの決算書や既存借入時の審査状況などから
どれくらいの融資をするか目安をもって連絡してきます。
先ほどの(月次固定費×6ヶ月)が大まかな目安でしょう。
それを覆す場合、疎明資料なしで口頭説明することになります。
(資料を後送するということも可能だと思いますが、煩雑になるからか あまり受け取ってもらえないようです)
電話面談も、先ほどの「面談のポイント」を中心に確認されるようですが、資料なしで口頭説明するためにも、
まずは手元に疎明資料を作って、それに沿って話すようにされれば良いと思います。
説明を聞いてもらえ、納得してもらえれば、一旦公庫内で再審査され後日連絡が入ると思います。
日本政策金融公庫どちらが該当
最後に、たまに質問を受けることについて
日本政策金融公庫の新型コロナ特別貸付には、実は融資限度額が2パターンあります。
もうひとつは中小企業事業向けで融資限度額3億円
さらに前述では基準金利マイナス0.4%の金利は6,000万円までと書きましたが、実は中小企業事業向けでは1億円までがマイナス0.4%の金利優遇がされるのです。
お読みになっている皆様は、ご自分がどちらに当てはまるんだろうかと考えておられると思います。
なぜ分かれているか?日本政策金融公庫の設立経緯によるものなのです。
日本政策金融公庫は2008年に、旧国民生活金融公庫と中小企業金融公庫および農林漁業金融公庫が解体・統合し設立されました。
その中で、国民生活金融公庫と中小企業金融公庫は全国的に同じ地域で営業を行っており、
・国民生活金融公庫は個人や規模の大きくない中小企業向け、
・中小企業金融公庫は規模の大きい中小企業向け融資
を行っていました
(明確に対象先を区別していたわけではありません。どちらも利用している中小企業もありました。)
そういった流れから、現在の日本政策金融公庫では、過去からのそれぞれの顧客に向けて2パターンの融資制度を行っているのです。
ではご自分がどちらの制度に当てはまるかですが、公庫審査担当者に確認すると、
明確ではないにせよひとつの基準として
年商5億以上(資本金数千万円以上)
は中小企業向け融資の対象となるようです。
詳しくは日本政策金融公庫にご確認ください。
以上、日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」申込後の面談のポイントについて説明させていただきました。(個別の事情は加味しておりませんのでご了承ください)
本制度はメリットの大きな融資制度となりますので、是非ご検討されればと思います。
その際に少しでもお役に立てれば幸いです。
融資制度のメリットについては前回ブログをご覧ください
-
新型コロナウイルス感染症特別貸付 ① 借りておくべき4つの理由
※本ブログは2020年4月時点のものです。制度等は変更しておりますので必ずご確認ください 新型コロナウイルスの影響で資金繰りに影響が出ている事業者の皆さんは非常い多いと思います。 事業継続はもはや政府 ...
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