MBA ファンディングアドバイザー 西谷佳之

金融機関経験を活かした中小企業の創業・経営支援

クラウドファンディング マーケティング 共感 資金調達

なぜ?「カーリング協会のクラウドファンディングが叩かれてしまっている件」

更新日:

ちょっと趣向を変えて。。。

メダル獲得おめでとうございます!

まさに今、注目の的ですね!!
日本初の快挙です!すばらしいです!

なのですが、何故か場外でもカーリングが注目されています。

『カーリング 強化費に苦戦、クラウドファンディングも目標1%で4万円』といった話題がネットで。

「えっ、クラウドファンディングやってたんだ!」と思った方も多かったんだと思います。

メダル獲得に至ったことで、2017年4月に行われていた 過去のクラウドファンディングプロジェクトが掘り起こされていますね。
(毎度のことですが、こういったマスコミ対応には疑問を感じますが)

ただ、失敗から得られるものも多いかと思い、今回取り上げてみました。

ネット上で批判されています

このプロジェクトですね
たしかに300万円の目標に対して、15人、39,300円・・失敗といわれても仕方ない結果ですね。

ネット上で言われている声は

ちゃんとした担当者をつけるべき

タイムリーに募集、情報発信が出来ていない

注目されている「今」プロジェクトが終わっているのは問題

選手の頑張りに協会が対応出来ていない

といったことです。

本当にそうでしょうか?

たしかに、専門家をつけていれば結果は変わったと思います。
正当な批判だと思います。

全く拡散も出来ていないのも問題だと思います。
SNSなどでの積極的な拡散も見られないので、「当然集まらない」大きな要因だと思います。

ただ、時期的な批判については必ずしもそうだとは言えないと思います。

クラウドファンディングを行う時期って?

「一番注目が集まるであろうオリンピックのこの時期に、クラウドファンディングが終わっているなんてありえない。」と言う批判がネット上に取り上げられています。。

結果的にメダルを獲れて、今は注目度が高いわけですが、だからといって、「このタイミングでクラウドファンディングをやっていないのがおかしい」という批判は、必ずしもそうだとは言えないと思います。

メダルが獲れてなかったら、注目度も今より全然なかったかも知れませんが、その時にも同じように批判が出来るのでしょうか。

さらに、そもそも女子は前々回2010年のオリンピックで8位、前回2014年のオリンピックで5位になって、(マリリンフィーバーもありましたね)注目度も認知度はそれなりにあったと思われます。今になって認知度が劇的に上がったのではないですし、「時期が悪い」というバッシングは結果論的な部分がありますね。

クラウドファンディングは、目的によって時期も変える必要があります。たしかに、案件によってはオリンピック開催期間中にプロジェクトを走らせておく必要がありますが、今回の目的は夏季合宿の費用ですから、今やっていても意味がないですよね。

時期は目的によって変わりますので、そこまで考えずに批判するのはかわいそうです。

選手の頑張りに協会が・・というのは、論点が変わっていますね

少しプロジェクトを見てみよう

ここで、このプロジェクトのリターンに目を向けてみましょう

これらがリターンの内容です。

支援の内訳は、

300
300×1=300

1,000
1,000×4=4,000

3,00010
3,000×1030,000

5,000
5,000×1=5,000

15,000円  

となっています。

クラウドファンディングを起案したことのある方、よく知っておられる方 ならお分かりだと思いますが、違和感を感じますよね。

上手く使えていないリターン

リターンが特別なものであればあるほど、支援者は集まります。特にお金で買えない、その時だけのものなどです。

今回のプロジェクトで、ファンにとってお金で買うことが出来ない特別なものは、直筆サイン入りのポストカードですよね。
(あと、Webの名前入れもその部類ではありますが)
ポストカード自体は市販品なんだと考えます

本当に好きな人は、多少高くてもほしいものです。

これが、まず10枚しかない。

(何故か10枚限定)

まして3,000円。

一番プレミアムがあると思われる商品で集められる資金は 最大30,000円しか無いのです。

結果論ですが、だからこのプロジェクトはそれくらいしか集まっていないのではないでしょうか。

このプロジェクトのリターンを見れば、300万円集めるのが非常に難しいことは、残念ですがすぐに想像出来ます。

・ 全体的に価格が低く(特に集まりやすいリターンの価格が低い)

・ ここでしか手に入らないものが少なすぎ(しかも安い)

たとえばサイン入りのポストカードを増やせば、もっと資金が集まったでしょう。
ポストカードは1万円にして、その代わり支援者のお名前を、希望した選手が直筆で書くなどすれば、もうお宝ものです。安いくらいかもしれません。

15,000円のクリスタルストーンにしても、推し選手の直筆サインが入っているとか、実際に使っていたとかなら、欲しい人は格段に増えるんじゃないでしょうか。

集めるためのリターンの工夫をもう少し行っていれば結果は違ったと思います。

実は別の事情があったのかも

そうなんです。すごく違和感を感じるのは、選手の協力が得られていないんじゃないかということなんです。

サイン入りポストカードが10枚しかないことからも推測できます。

ここが、実はこのプロジェクトの真相なのではないかと考えます。(勝手に、、)

選手の協力が得られていないということは、決して選手たちの意思では無く、
じっくり検討して組み立てて行ったクラウドファンディングではないからなんだろうなと、思ってしまいます。

起案者は、選手の迷惑にならないように、選手を巻き込まないように、
選手に相談せずプロジェクトを実行したのかも知れません。

推測するに、おそらくこのプロジェクトは、一部の協会の人が、それも協会の総意を得ずに実行せざるを得ない事情があったんじゃないでしょうか?

その背景として、本当に資金繰りが厳しかったことがあるのかもしれません。
背に腹は変えられず、藁をもつかむ思いでプロジェクトを実行したんじゃないでしょうか。

そもそも、総支援者数が15人ということからして、協会の人たちは協力していないんだと推測されますよね。

準備も不足していますし、選手たちの協力も得れていない(と、推測します)ことも納得出来ますよね。

選手たちの積極的な協力が得れていれば、戦略的にキチンとクラウドファンディングを行っていれば、
もっと支援者に共感を得てもらえたと思います。

支援者の共感を得ることが大事

このプロジェクトは支援者のことを考える余裕が、まったく無かったのでしょう。

これでは、カーリングじゃなくても失敗します。

たとえば、いま人気絶頂の広島カープだとしても、阪神タイガースだったとしても。
リターンが通常のポストカードに直筆サインをいれたものが10枚と、マスコット人形ぬいぐるみと、クリスタルのバット・・・

これでファンから数百万円集めることは、いくら人気球団でも難しいと思います。

支援する人が何を求めているかを考える必要がありますね。

クラウドファンディングは資金集めのツールではない

今回のプロジェクトのさらなる問題は、クラウドファンディングを単なる資金集めツールとしてしか見ていないことです。
プロジェクトを公開したら勝手にお金が集まるなんてことは決してありません。

日本では何故かクラウドファンディングを資金集めツールと考えている人が多いのは事実です。しかしそれは少し違います。

日本人は世界でも有数の、寄付に消極的な民族なんです。
(日本の年間寄付額はアメリカの108分の1というデータもあります)
ということは逆に、単にお金を出してくれる人は非常に少ないということです。

つまり、対価に見合うだけの見返りがないと支援しないということですね。
ただ、見返りはお金じゃなく、気持ち、プレミアム、機会何でも良いのです。

すべてのニーズを考える

さらに、支援者だけでなく、起案者や関係者、この場合であれば選手たちのニーズも考える必要があるのです。

たとえば、選手たちが気分一新、新たなユニフォームを新調したいと考えていたならば

「さらに上を目指すため、気分一新、選手たちが選んだデザインのユニフォームで挑戦さえてあげたい」

といった風な案件にすれば、ファンはお手伝いしてあげたいと思うでしょうし、さらにファンもその限定ユニフォームを着れるならば、少々割高でも支援したいと思うのではないでしょうか。

AKBなどは上手くファンに対する戦略をたててますよね。

今回のように夏合宿の資金を集めるにしても、単に夏合宿の資金集めというのではなく、

「強くなるために必要な練習の出来る環境のある施設で連取させてあげたい」
「次世代を育てるために」
「金メダルを採るために海外の選手との試合経験を増やしたい」

といった風な案件にすれば、お手伝いしてあげたい、一緒にチームを強くしたい、という支援者が増えるかもしれませんし、
特別練習見学や特別練習風景DVD、フォトなどをリターンに付ければ欲しい人がこぞって手をあげるでしょう。

このように選手や協会と支援者のニーズをマッチさせることで、結果として本当のファンが増えていくのだと思います。

クラウドファンディングは資金以外のメリットがいっぱい

応募してきた人たちの属性などがわかるということは、今後アプローチしていくターゲットが絞れるということにもつながりますし、お礼メールなどをリターンに入れておけば、引き続きアナウンスしていける名簿が勝手に作れるので、価値換算すれば集まるお金よりも、もっと高い価値が期待できます。

他にもPR手段としてなど、マーケティングツールとして申し分ないのがクラウドファンディングなんですね。

今なら、噂の「もぐもぐタイム」に軽食を提供したいという企業がいくつも手をあげるかもしれませんね

リターンが重要

日本人が寄付に消極的な民族だということは、あらためてブログに書きたいと思っていますが、そうであればクラウドファンディングを単なる資金集めとして使用した場合に、なかなか資金は集まらないと考えられます。

やはり、資金集めとして、単なる寄付的な意味合いで使用するよりも、案件にもよりますが、プロジェクトに共感を得てもらい、なおかつ支援した資金以上に価値を感じてもらえるリターンを提供した時に、プロジェクトは大成功するのでしょう。

そう考えれば、リターンは重要なことがわかりますね。

次のクラウドファンディングに向けて

このように、今回のカーリング協会のプロジェクトを通してわかることは沢山あります。今回カーリング協会様がクラウドファンディングを起案されたことは、決してマイナスだけでは無いと思います。クラウドファンディングの良いところは、失敗しても次があることです。そして何度でも出来る。

さらにスポーツとの相性も良いのです

ぜひ、戦略を練って、再度クラウドファンディングに挑戦してほしいと思います。

ちなみに、今回カーリング女子がメダルを獲得されましたが、、、昨年クラウドファンディングに挑戦した方々の、危機感を持ってなんとかしたいという思いから実行した方々の、その熱い思いも獲得に至った要因の一つに違いありません。

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西谷 佳之
大阪生まれ 神戸大学大学院経営学研究科修了(MBA) 大学卒業後地方銀行勤務。約10年 4ヶ店の銀行支店長経験後リレーション推進部地域創生室を経験し、大阪大学産学共創本部特任研究員として大学発ベンチャーの創生に関わる。 一方で、中小企業支援をライフワークとし、テイクオフパートナーズを立上げ。銀行ではほぼ全ての期間で法人取引を担当した経験や、支店長として着任したすべての店舗を業績表彰店に導いた手法とMBAの知識をもとに、個社別のコンサルタントや経営関連講演を行うことで事業サポートを行っている。 銀行の枠組みを超えた企業サポート手法のひとつとしてクラウドファンディングの可能性に魅力を感じ、クラウドファンディングを利用した事業サポートに注力している。 また、起業志向学生のサポーターとして大学発ベンチャー創生にも携わっている。

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