MBA ファンディングアドバイザー 西谷佳之

金融機関経験を活かした中小企業の創業・経営支援

クラウドファンディング マーケティング

寄付の苦手な日本でもクラウドファンディングで支援を集める4+2のポイント

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クラウドファンディングは資金集めツールではないですが

クラウドファンディングが資金集めではないというのは、何度もお話ししています。ただ、資金集めの側面があることはご存知の通りです。

前回のブログ『「日本人は何故寄付を行えないか」市場より資金を集めるために考慮しておきたいこと』でもお話ししましたが、
日本人は欧米に比べ寄付をしない人種なのです。

欧米では経済的に成功した 個人 が、財産の一部を寄付という形で、社会還元することが当たり前
日本では個人ではなく企業や団体が、企業の社会的責任(CSR)として、利益の一部を寄付することが一般的

なのですが、日本では経済が悪化するに伴い、企業の寄付が減少してきました。

それに代わって個人が広く資金を集めるツールとしてクラウドファンディングが注目されています。

クラウドファンディングに有効な施策

では、もう少し寄付の一般的なメカニズムを深堀したうえで、どういった施策がクラウドファンディングに有効なのかを考察したいと思います。

(支援も寄付と同じメカニズムだと考えられるため、今回は支援を寄付という分野に含めて考えます。つまり、寄付型・購入型のクラウドファンディング両方に当てはめてみてください)

人は何故他人のためにお金を出すのか

行動経済学では、寄付するときに得られる満足感と、寄付するときにかかってしまうコストを比較して、満足感が多いときに寄付をする と、考えます。

満足感とは

満足感を得る心情はつぎの4つに分類されます。

・純粋な利他性

・暖かな光

・互恵性

・同調性

です。これだけじゃわかりにくいですよね。それぞれについて補記していきます。

・純粋な利他性

寄付することで、相手が喜んだり、相手を助けたりすることが自分の満足感になるという心情。
いわゆる寄付といわれるものの本来の目的です。

(近年 新たなマーケティング手法として、利他性による消費者理解が注目され、研究されています。ご興味あれば、ぜひ調べてみてください)

・暖かな光

他人ではなく、自分が寄付しているということ自体に喜びを感じるもの。
他人を支援できる立場にある自分を誇らしく思う心情です。

・互恵性

以前誰かに寄付してもらったお返しにするもの。将来自分が困窮したときに寄付してもらうかも知れないから行うもの。
相手がお返ししてくれたり、自分がお返ししたりすることで満足を得る心情です。

・同調性

周りの人が寄付をしていると、寄付先の信頼が厚いように感じ寄付をする、寄付すべきだという社会的規範に外れるのが嫌だから寄付をする、といったもの。
他の人たちと同じようにふるまうことで安心し、満足を得る心情です。

欧米の研究結果では、暖かな光、互恵性、同調性を動機とする寄付が多く、純粋な利他性は少ないと出ています。

わかるけどわかりたくないような、少し微妙な感じですね。

寄付型クラウドファンディングにおいて

クラウドファンディングは、購入型だけではなく、寄付型においてもリターンが設定されている場合が多いですが、リターン つまりお返しがあることで、互恵性の部分を推し出しているのがクラウドファンディングの特徴です。

また、初速が大事と言いますが、同調性という観点から見ると、納得性が増しますね。

リターンと寄付額の関連

リターンと寄付額の関連を調べた研究があります。

結果は、リターンがある方が寄付率が高くなるのです。 そんなの当たり前 だと思いますよね。

しかし、一人あたりの寄付額の平均値は、実はリターンが無い方が高いのです。

この結果から言えることは、リターンがあるからといって、必ずしも集まる金額が増えるということにはつながらないということです。

互恵性だけでは集まる金額は増えないといえます。

クラウドファンディングにおいて

つまり、クラウドファンディングを行うにおいて、その他の要素も仕込んでいく必要があるということですね。

たとえば写真や動画で、誰を助けるのか、どんなプロジェクトにお金を使うのかを伝えることで、「純粋な利他性」「暖かな光」を刺激します。

コメント欄に書き込みを増やすことで「同調性」を強調するなどです。

寄付を呼び込む【奥の手】

行動経済学では周囲の寄付を呼び込む方法について研究がなされています。

周囲の寄付を呼び込む方法は「金銭的な方策」と「非金銭的な方策」に分類されます。

金銭的な方策

金銭的な方策は2つに分かれます。
ひとつは、寄付をしてもらったら、その一定割合額を発起人が追加して寄付をする「マッチング」という方式

もうひとつは、発起人が資金調達の開始時に 先んじて一定額を寄付し、残りの金額を他の寄付者から集める「シーズマネー」という方式です。

これらの方式が寄付の意欲を高めることについて明らかにされています。

非金銭的な方策

一方、非金銭的な方策とは「社会的プレッシャー」を与えるやりかたです。

具体的には、多額の寄付をした人の存在を通知したり、他人の平均寄付額を教えたりすることで、これらの方式にも寄付を増やす効果が確認されています。

注意すべき【奥の手】

これら【奥の手】は、支援者の内発的な動機に外部から訴えかけて動機を高める方法ですが、注意すべきポイントとして、あまりやり過ぎると逆に動機を損なう可能性があるということです。

外からの強い刺激のために内発的動機が低下し、寄付が減少する現象は「クラウディング・アウト」と言われています。

ほどほどのところで止めておくことが重要なようですが、状況を見つつ対応していく必要がありそうですね。

 

 

寄付は、価格や報酬が思った通りの効果をもたらすとは限らない厄介な分野なので、クラウドファンディングに応用する場合は、前述の「4つの満足感を得る心情」と合わせ、「2つの奥の手」を慎重に使っていくことをお勧めします。

本記事は京都大学大学院経済学研究所 依田博士の投稿を参考にさせていただいております

 

 

 

 

テイクオフパートナーズ代表
MBA
2級知財管理士
2級ファイナンシャルプランナニング技能士

西谷 佳之

 

いつもご覧いただきありがとうございます。

 

他各種ビジネスセミナー、個別コンサルタント等を賜っております。

過去講演題目(抜粋)

・スモールベンチャーファイナンスのリアル
・ドラマ「陸王」から紐解く 経営ビジョンが叶える会社の生き方
・オープンイノベーション推進におけるクラウドファンディングの活用について
・銀行から融資を受けるポイントとは
・財務分析の勘所
・女性のためのクラウドファンディング
POC手段としてのクラウドファンディング
・クラウドファンディングと社会的インパクト投資
・資金調達ツールとしてクラウドファンディングの使い方
・起業家がクラウドファンディングで出来ること
その他

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大阪生まれ 神戸大学大学院経営学研究科修了(MBA) 大学卒業後地方銀行勤務。支店長として約10年 4ヶ店 全ての支店を業績表彰店舗に導くことに成功。その後推進部地域創生室を経験し、大阪大学産学共創本部特任研究員として大学発ベンチャーの創生に携わる。東京にてボードメンバーとしてベンチャー参画し、現在は大阪にて大学発ベンチャーのCFOとし、資本政策や海外子会社設立など経営に参画するとともに、新規商品開発にも関わる。 一方で、中小企業支援をライフワークとし、テイクオフパートナーズを立上げ。銀行での経験やベンチャー経験、MBAの知識をもとに、事業サポートを行う。 クラウドファンディングなどのツールによる直接金融をサポートすることで金融機関融資に頼らない資金調達、創業をアシストする。 また、セミナーなどを通じ起業志向学生をサポートすることで新しい事業創出の一助を担うことを目標としている。

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