MBA ファンディングアドバイザー 西谷佳之

金融機関経験を活かした中小企業の創業・経営支援

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事業計画がつくれない訳? 大成功した起業家だけが考えていた5つの原則

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起業するために

みなさんが起業しようとするとき、どんなことを考えるのでしょう。

「年商10億を超えたい」
「従業員100人にしたい」
「会社を上場させたい」
などといった会社の規模のことでしょうか。

「業界で一番になりたい」
「その道のカリスマになりたい」
といったポジションのことでしょうか。

そして、それを目標として方法を考えます。

年商10億にするために、
・何をしなければいけないのか
・どういった販路を開拓しなければならないのか
といったことです。

つまり、まず目標を定め、その時点で手元にあるリソースをもとに、
この目標を達成するのに最適なやり方を決めていく、という方法です。

最終目標が一番上に置かれるトップダウン方式ですね。

このような思考プロセスを「コーゼーション」と言います。

おそらく10年ほど前、日本においては2年ほど前までは
起業に関する教科書には、すべてこの方法が書かれていました。

事業計画書は目標から遡ってまとめる

コーゼーションによって着地目標が決まっていれば事業計画書は書けます。
目標から逆算して時系列にやることをまとめていけば良いのです。
資金計画も同じ方法で出来ていくと思います。

しかし、実際に起業して事業計画書を作るとき、すごく悩む方が多いのです。
書き方がわからないのもあるでしょうが、おそらく考えていくうちに迷いが出てくるのだと思います。
「本当にこんなこと出来るんだろうか」
「もし、これが出来なかったら、目標までたどりつかないんじゃないか」

それは、当たり前のことなんです。
そもそも起業の時点で数年先の確実なことは何も分からないし、
目標を立てても色々な外部要因によって変わってしまうかもしれないからです。

だから悩んでしまうのは当然なんです。

何度も成功している起業家たちは、どうやって目標達成を成し得ているのでしょうか。
どのような事業計画を立てているのでしょうか。

成功している起業家の考え方

実は何度も成功している起業家の考え方は全く違います。

サラス・サラスバシーという経済学者は2008年に「エフェクチュエーション-市場創造の実行理論」という学術書を発刊しました。
(日本では2015年に和訳されています)
そこでは、起業家の中でも特に連続して何度も新しい事業を立ち上げている優れた起業家達の共通の思考プロセスが抽出されています。

成功している起業家の考え方を体系化して誰にでもわかるようにしたのです。

この世界初の画期的な研究は、世界で非常に注目されています。

この考え方を「エフェクチュエーション」といいます。

「起業したいけど、ちゃんとしたアイデアがないんだな」
「起業にはむいてないんじゃないかとも思うんだけど」
「お金が無いから起業は難しいよね」

などと思って、起業することに二の足を踏んでいた人たちも、
起業家の思考パターンを学ぶことが出来るようになったのです。

そして、エフェクチュエーションを知ると、
ためらっていた人たちも起業できる
むしろそのように考える人たちこそ起業に向いている
と思えるのです。

コーゼーションとエフェクチュエーション

コーゼーションが「トップダウン方式」であるのに対し、エフェクチュエーションは「ボトムアップ方式」です。

つまり、成功している起業家たちは、「目標」ありきで行動しているのではなく、
「手段」ありきで行動していたのです。

コーゼーションでは、求める結果(effect)からスタートし、これを達成するには何をすれば良いかを考えます。
今までの大多数のやり方ですね

エフェクチュエーションでは、手持ちの手段(mean)からスタートし、これらの手段を使って何ができるだろうかを考えます。

エフェクチュエーションの根幹には、成功している起業家たちの思考パターンから抽出した
5つの行動原則があります。

①Bird in Hand(手の中の鳥)の原則

これは、目標を設定してそのために必要な手段を集めていくのではなく、
手元にある手段を使って始めるということです。

成功している起業家達は、新しい方法を発見するのではなく、既存の手段で何か新しいものを作っていたのです。

たとえば、当初起業した事業に自分の趣味を組み合わせて新しい事業にしたり、
商品に自分の持てる技術を加えることで付加価値をつけたりといったことです。

②Affordable Loss(許容可能な損失)の原則

事業の目標を設定する場合、どれだけの売上・リターンを得られるのかを考えます。

コーゼーションではそうですがエフェクチュエーションでは異なります。

起業家は積極的にリスクを取っていくように思われますが、じつは違うのです。

損しても良い額をあらかじめ設定しておき、それを上回らないように行動していくことが重要だということです。

成功している起業家は、1回で成功するなんて思ってないのですね。小さな失敗を重ね学習していくのです。

そのためにも、どこまで損失を許容する気があるか、あらかじめコミットしておくことが重要なのですね。

③Crazy Quilt(クレイジーキルト)の原則

キルトは大きさや生地の異なる布をつなぎ合わせて作ることから、
ここでは行動の中で得られた協力者とのコラボレーションを意味します。

つまり、協力してくれる人を増やしていくことです。

コミットする意思を持つであろう全ての関与者と協力を交渉していく必要があります。

たとえば、コーゼーションの場合、積極的な情報提供は行われません。

自分が店舗をやろうとした場所に同業者がいた場合、その店とどう差別化を図っていくかを考えますが、

エフェクチュエーションの場合は、どうやって同業者をパートナーとして活用するかを考えるのです。

販路であるのか、サポート体制であるのか、そうやって様々な関係者と協力しながらパートナーシップを作り上げていくのですね。

④Lemonade(レモネード)の原則

海外では「酸っぱいレモン(欠陥品)が与えられたら甘いレモネードを作れ」ということわざがあるのですが、

偶然の出来事を活用し、思い通りにいかないこともポジティブに捉え何か活用できないか考えることが必要だということです。

コカコーラもポテトチップスも失敗したものが商品になっているのは有名な話です。

発想の転換が必要なのですね。

⑤Pilot in the Plane(飛行機の中のパイロット)の原則

操縦席のパイロットは、常に不測の事態に備え、数値を確認し、何かあれば臨機応変に対応します。

つまり、不確実な状況の中、不測の事態に備えながらコントロールできる部分に集中し
実際に得られた結果から次のアクションに繋げていくことを心がけるということです。

最後は人であり、未来は起業家自身の戦略によって作られていくのですね。

エフェクチュエーションとコーゼーション

これら5つの行動原則がエフェクチュエーションの根幹です。
今まで主流であったコーゼーションとは逆からのアプローチですね。

ただし、「エフェクチュエーション-市場創造の実行理論」の中で著者は、
エフェクチュエーションとコーゼーションの2つの思考プロセスを効果的に用いることが大切だと説いています。

では、どのように使い分けられているのでしょうか。

一般的に、事業フェーズとして【0→1】は「手段」ありきで、【1→10】【10→100】とフェーズが進むに従って
「目的」ありきのほうが強くなっていくと言われています。

大企業に成長すればコーゼーションも必要になってくるのですが、
起業段階ではあきらかにエフェクチュエーションが有効なのです。

事業計画をどうしたらよいのか

起業段階でエフェクチュエーションが重要なのはわかったけれど、
目標を決めないのならば、事業計画は作れないのでは?

と言う声が聞こえてきそうですね。

たしかに、目標を明示することが事業計画ですから、目標が決まらないと書けないですね。

おそらく、事業計画がむずかしいとおっしゃっていた方々の大半は、
「目標なんて今の段階では絵に描いた餅にすらならないのに」などと思っておられたのではないでしょうか。

だから、つくれないと。

しかしよく考えてみてください。エフェクチュエーションの理論を理解することで、
未来は作られるもので、環境に応じて変わっていくものだということがわかったと思います。

計画は変わるもの

起業段階において、目標なんていくら考えても、その過程で変わっていくのです。
そもそも、事業計画の数字通りに着地する企業なんてごく稀だと思います。

多くの証券会社やベンチャーキャピタルが計画を作って、上場させようとするスタートアップでも、時期がずれたり、売上げ計画が変わったりなんてしょっちゅうあるのですから。

おそらく事業計画を作成する場合は、金融機関からの調達を考えている時なのだと思われます。

そして金融機関も、その辺のことは十分にわかっています。

なので、必ず達成しなければならない目標を書くのではなく、いまの段階での皆さんの思いを書くと思ってください。

変わっても良いのです。

エフェクチュエーションの思考プロセス通りであれば、大きな失敗はしないでしょう。

そう思えば事業計画作成も気が楽になりませんか?

エフェクチュエーションの思考法で起業に取組む4つの大原則

サラス・サラスバシー氏は、著書「エフェクチュエーション-市場創造の実行理論」の中で
エフェクチュエーションの思考を取り入れるうえでの、4つのメッセージを送っています。

・やりかたをよくわかっている事柄から始めなさい
・行動を選択する際には、大成功を狙うのではなく、大きな失点を避けるようにしなさい
・今までにない能力をもたらしてくれる人たちと働きなさい
・予想外の出来事を大いに活用しなさい

起業しようとした時に、最初は主力商品や市場がさっぱりわからないというケースもあると思います。
それでも、最終的には成功する可能性を最高に高めてくれるというのが
エフェクチュエーション理論の主張なのです。

あなたの強み、持っているもの、知っていることなど、まずは自分の棚卸をすることから始めてみましょう

エフェクチュエーションの考え方をうまく活用すれば起業を成功の可能性がずいぶんと上がりそうですね

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西谷 佳之
大阪生まれ 神戸大学大学院経営学研究科修了(MBA) 大学卒業後地方銀行勤務。約10年 4ヶ店の銀行支店長経験後リレーション推進部地域創生室を経験し、大阪大学産学共創本部特任研究員として大学発ベンチャーの創生に関わる。 一方で、中小企業支援をライフワークとし、テイクオフパートナーズを立上げ。銀行ではほぼ全ての期間で法人取引を担当した経験や、支店長として着任したすべての店舗を業績表彰店に導いた手法とMBAの知識をもとに、個社別のコンサルタントや経営関連講演を行うことで事業サポートを行っている。 銀行の枠組みを超えた企業サポート手法のひとつとしてクラウドファンディングの可能性に魅力を感じ、クラウドファンディングを利用した事業サポートに注力している。 また、起業志向学生のサポーターとして大学発ベンチャー創生にも携わっている。

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