MBA ファンディングアドバイザー®西谷佳之

金融機関経験を活かした中小企業の創業・経営支援

マーケティング 戦略

ガンダムの戦略は機体と共に進化している 〜情報社会のマーケティング戦略〜

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機動戦士ガンダム40周年

2019年に40周年を迎える機動戦士ガンダムシリーズ。1979年に始まってから世代を越えて人気を継続しています。

ガンダムシリーズでは「親子フック」と言われる親子が同時に楽しめる手法(ガンプラなど)が有名ですね。

しかし、キラーコンテンツと言われるガンダムシリーズの継続は、「親子フック」以外にも、さまざまなマーケティング戦略によって成り立っています。

1979年 ガンダム →1985年 Zガンダム →1986年 ガンダムZZ →1988年 逆襲のシャア

ここまで右上りで人気を博したガンダムシリーズは、逆襲のシャアを頂点として人気は頭打ちとなっていたのです。

古参ファンを切り捨てた機動戦士ガンダムSEEDのブルーオーシャン戦略

逆襲のシャアの劇場公開後、1993年のVガンダム以降約10年間は他シリーズ、ゲーム、ガンプラなどの関連商品が下支えしたとはいえ、全盛期に比べ売上は大きく落ちていました。

そこでバンダイは、今までの古参ファンを切り捨て新たな顧客層の取込みに舵を切ったのです。

1stガンダムからのファンは、その仮想時代背景から「宇宙世紀世代」と呼ばれています。

「宇宙世紀世代」は当時30〜40代の男性が大部分を占めていました。「すべてのジャンルはマニアが潰す」とは、前回の「新日本プロレス」のブログでお話ししましたが、ガンダムもまさにそうなってきていたのです。

市場を変えるべく、ガンダムSEEDでは、宇宙世紀から離れ新たなストーリーを提供、さらに画風を変えいわゆる「萌え絵」風にし、キャラクターを選択出来るような設定としました。

たしかに、古参ファンからは不満の声が多く上がりましたが、結果として女性を中心とした新しいファン層の獲得に成功し、業績はV字回復したのです。

また、この時に行った新たな試みは、テレビ番組放映のすぐあとで、番組ネット配信を行ったことです。

これも「そんなことをしたら視聴率が下がる」と、テレビ側から反対があったのですが、実際には視聴率を上げることに繋がったのです。

このように、何かを切り捨たり何かを加えたりすることで、ターゲット市場を変えることがブルーオーシャン戦略には重要なのですね

ガンダムUC(ユニコーン)での新しい試み

2002年から2005年まで、ガンダムSEED、ガンダムSEED DESTINY と、新たな市場向けアプローチが続きました。

そのあと、再度「宇宙世紀世代」にアプローチするため、宇宙世紀を踏襲した物語 ガンダムUC を送り出したのです。

ガンダムは、「宇宙世紀世代」「SEED世代」さらにここでは詳しくは述べませんが、ガンダムAGEやガンダムビルドファイターズがターゲットとする「子供世代」これらいくつもの市場を巧みに組み合わせて40年間継続させています。

その歴史の中で、非常に大きな転換期を迎えたガンダムUCでは、今までの常識を覆す 新たな戦略が多く打たれました。

インターネット時代のマーケティングに非常に参考になるのではないでしょうか

ウィンドウ戦略を大きく変えたガンダム UC

ウィンドウ戦略とは、ひとつのコンテンツを期間をずらして複数の媒体に登場させ、利益を得る戦略のことです。

たとえば、映画なら

「劇場公開」→「DVD販売」→「DVDレンタル」→「有料映画チャンネル放送」→「地上波無料放送」

といった具合で、時期をずらしていきます。

どれくらいの期間を空けるかの見極めが戦略として重要になってきます。

ところが、ガンダムUCはこのウィンドウ戦略を画期的に変える試みにチャレンジしました。

劇場公開とDVDやBlu-rayなどの映像パッケージ、さらに有線放送を同時に行ったのです。

当然内外からの批判は大きかったようです。「誰も劇場に来なくなる」「インターネット上で観れるのなら映像パッケージは売れなくなる」といったものです。

しかし、結果として 劇場売上も映像パッケージ売上も大幅に伸びたのです。

さらに、ガンダムUCが行った大胆な変換があります。

TVを除外したガンダムUCのウィンドウ戦略

ガンダムUCのウィンドウ戦略には、TVは含まれていないのです。

そもそも、アニメ業界はTVありきとしていました。TV→劇場→映像パッケージ という流れが普通でした。

しかし、2008年頃から劇場重視になっていました。TV放映はコストがかかる割に宣伝効果が薄く、割に合わないという意見が業界で起こってきたからです。

その代わりにインターネット配信を利用する動きもありましたが、やはり宣伝効果は薄かったようで、TV放映も未だに無くなることはないのですが。

ネット社会になって、TVの役割が変わってきたのでしょう

しかし、TV放映を除外するという発想は当時では考えられなかったのです。
(現在では、TV放映抜きの書籍流通手法などでも人気アニメが出ていますが)

そして、TVを除外し、3つのコンテンツを同時に発信する戦略は成功を収め、「宇宙世紀世代」の再取り込みに加え、新たな手法として他の作品にも適用されています。

現在劇場公開されている「宇宙戦艦ヤマト」は、3部作の映画公開に合わせ、同時にTV放映が進んでいくという手法を取っていますね

劇場公開のマーケティング活用

劇場公開は現在アニメ業界だけでなく、もちろん映画業界もマーケティングとして非常に重要視しているのです。

映像パッケージがどんどん発売されると、劇場が低迷していくのではないかと思われましたが、そうではありません。

アニメでは「空の境界」という作品が、劇場と映像パッケージとのマーケティング戦略で大成功を収めていますし、「劇場版エヴァンゲリオン」も劇場を使うことで再ブレイクを果たしています。

顧客が劇場に求めているものはいったい何なのでしょう

体験の重要性

劇場で提供しているものは、お祭り感や一体感といった『共通の体験』なのです。

たとえば、「宇宙世紀」という仮想世界観の共有であったり、同じ場面で驚き悲しみ喜ぶ一体感、さらには、劇場でのサプライズやプレミアム商品を手に入れる特別感の共有などですね。

「劇場で映像パッケージなんて売れるわけがない」という批判は多くあったのですが、これは消費者目線ではないわけです。

映像パッケージは中身を見ないで期待感で購入する時代から、中身を見て納得して購入する時代へと変化しているのでしょう。

そして、劇場に来た観客は、お祭りの結果として映像パッケージを購入するのです。

いくつかの大手書籍ショップでは、本を自由に読むためにイスやテーブルを用意してありますし、コーヒーなども買えるようになっていますが、これも同じで、期待感より安心感が現在の顧客に求められているのです。

現在の情報社会にマッチした戦略

先述しましたが、ウィンドウ戦略とは 映画から何ヶ月空けてDVDやBlu-rayなどの映像パッケージを販売するかを考える戦略でした。

従来は、だいたい3〜4ヶ月でした。

ところが、今は与えられる、手に入れられる情報量が非常に多いのです。

3〜4ヶ月も空けると忘れてしまうのだと言います。

その間に沢山の魅力的な情報が入ってくるからです。よほど興味が無ければ覚えていないでしょう。

映像パッケージを販売したら劇場に来ない、ネット配信したらTV視聴率が落ちる といった目線は顧客目線ではありません。

今の情報社会にマッチした戦略をどう立案していくか、そのキーワードのひとつは
「体験」なのだと思います

現在ガンダムはガンダムNTでさらに「宇宙世紀世代」へのアプローチを強化すると共に、ガンダムorigin(1stガンダムに新たなエピソードを加え、少し異なる目線で作り上げた作品)をはじめてNHKで4月より放映するなど、これまでとまた少し違ったアプローチをしています。どのような結果となるのか楽しみです。

 

 

 

 

 

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西谷 佳之
大阪生まれ 神戸大学大学院経営学研究科修了(MBA) 大学卒業後地方銀行勤務。約10年 4ヶ店の銀行支店長経験後リレーション推進部地域創生室を経験し、大阪大学産学共創本部特任研究員として大学発ベンチャーの創生に関わる。 一方で、中小企業支援をライフワークとし、テイクオフパートナーズを立上げ。銀行ではほぼ全ての期間で法人取引を担当した経験や、支店長として着任したすべての店舗を業績表彰店に導いた手法とMBAの知識をもとに、個社別のコンサルタントや経営関連講演を行うことで事業サポートを行っている。 銀行の枠組みを超えた企業サポート手法のひとつとしてクラウドファンディングの可能性に魅力を感じ、クラウドファンディングを利用した事業サポートに注力している。 また、起業志向学生のメンターとして大学発ベンチャーのサポートも行っている。

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