MBA ファンディングアドバイザー 西谷佳之

金融機関経験を活かした中小企業の創業・経営支援

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本当に創業期のクラウドファンディングは有効なのか ④

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購入型クラウドファンディングのリスクと利用の仕方

今回は購入型クラウドファンディングを行った場合のリスクについて、考えてみたいと思います。 クラウドファンディングを行う前から資金調達完了までの話は、書籍や記事、ブログなど多くのところで述べられていますが、そのあとのことについて述べられているものはあまり見られません。しかし、本当は調達後のほうが企業にとっての負担も大きく、トラブルも多く発生しているのです。

購入型クラウドファンディング資金調達後のトラブルについて

予想外のコスト負担を吸収できないケース

シリーズ②でも述べましたが、単に原価のみをコストと計算していた場合などは、実際に生産する場合に費用が多くかかりすぎ生産できなくなる可能性があります。支援者が思っていたより増えた場合など、材料調達や人件費が予想以上にかかってしまうケースです。材料の価格が急な相場変動により高くなったことで調達ができなくなる場合などもあります。コストのかかるリターンのみに多く支援が集まった場合などもそうかも知れません。

資金計画に余裕がない場合、コストアップを吸収できなくなります。現に、こういったトラブルは非常に多いのです。

リターンを受けとれなかった支援者が訴訟を起こしたケースや、クラウドファンディング業者に資金請求を行ったケースもあります。なので、クラウドファンディング業者は基準を設け参加企業を絞っているのです(実際、白色申告であった事業者はそれを理由に断られています)。

騙そうと思っていなくても、結果としてリターン商品を支援者に届けれなかった企業は少なくはないのです。

リターンの商品が発送できないケース

多くの人から支援があった場合、決めたとおりにリターンを発送しないといけないのですが、これが結構大変です。また、支援者の支援状況によっては、発送料増加などの新たなコストもかかってくる場合があります。

さらに、ひとつひとつ梱包し発送するには思ったより時間がかかります。創業期など、従業員を雇用していなければこれらをすべて一人で行うことにもなりかねません。

また、不良品や商品の不均一によって表示通りの製品が揃わないことから商品が発送できずトラブルとなったケースもあります。告知していた性能の商品が、結局できないという顛末をむかえる企業もあるようです。

クレームへの対応が出来ず大きなトラブルになるケース

リターンを送付後、色目の違いや性能に対する不満、不良品に対するクレーム、商品の到着が遅いといったクレーム、その他多くの観点からのクレームが想定されますが、特に創業期などにはそういったクレームに対応できる人材がいるかどうかということも考えておく必要があります。

対応をおろそかにした場合、クラウドファンディング業者をも巻き込んで大きなトラブルになるケースもあります。こういった場合、信頼性という面から、今後の事業に影響を及ぼす可能性も否定できません。

費用だけでなく事務こすとなども吸収できる体制を確保しておく必要があるのです。

金融機関よりの融資の方がコストが低い

調達金額に対して20%程度も手数料がかかるのですから、金利にするとかなり高くなります。「そんなにコストのかかる資金を調達してまで」と言えば、『創業時に資金調達が出来ないからだ』と言われそうですが、最近は金融庁の方針もあり創業者に対する金融機関融資はハードルが低くなっています。

第一回で紹介させていただいた日本政策金融公庫や中小企業保証協会などの創業融資も充実しています。銀行も地方銀行や信用金庫などでしたら門前払いすることは無いと思います。

そういったところで資金を調達しつつ、クラウドファンディングを利用するのが創業期には良いと思います。融資を受けるかどうかはともかくとして、手元の資金を持ったうえで創業するのが鉄則です。アイデアだけで創業出来る確率は非常に低いと言わざるを得ません。

クラウドファンディングの活用について

では結論として、創業期にクラウドファンディングを行うなと言っているのかといえばそうではありません。創業期にクラウドファンディングのみで資金調達することは避けるべきだということです。(ここでは購入型のクラウドファンディングを指しています。一般的に金融型は創業期の企業は参加しにくいという前提です)

しかし、第一回でも述べさせていただきましたが、クラウドファンディングで出来ることは非常に多く、マーケティングツールとしてもクラウドファンディングは非常に優秀なツールなのです。多少コストがかかっても使わない手はないと思います。

創業期にクラウドファンディングを導入することで、効果的にPRでき、ファンを作ることができ、ビジネスパートナーまで得ることが出来るかもしれません。資金調達よりももっと事業に効果がある、まさに夢のツールなのです。頼るのでなく、うまく利用してほしいと思います。

クラウドファンディングを上手に活用するために

クラウドファンディングを行う目的は資金集めではありません。これは多くのクラウドファンディング業者もセミナーなどで言っています。マーケティングツールと一言で表すことすらはばかられる夢のツールだと思います。

これをどうしたら効果的に使うことが出来るのか。

クラウドファンディングは共感を得ることで支援者を集めることはすでに述べましたが、共感を得るためにコンテンツの魅力は当然重要です。また、いままでにない商品やサービスであればあるほど、良い意味で期待を裏切れば裏切るほど支援者は集まってきます。

インターネット上での見せ方も大事です。SNSを駆使することも必要です。さらにもう一つ、意識しておきたいことがあります。それは、クラウドファンディングは「行列が行列を呼ぶシステム」だということです。

行列が行列を呼ぶシステム

設定の金額にもよりますが、あるクラウドファンディング業者に聞いたところ、クラウドファンディングが目標額を達成しない確率は40%程度とのことでした。業者によって多少の違いはあるものの、目標達成するプロジェクトはおおまかに半分ちょっと。残りは失敗するということです。

では、成功する確率を上げるために必要なことは何か。当たり前ですが支援者を増やすことです。そのためにどうすれば良いか。

実はクラウドファンディングでは多くの支援者が集まるところに、さらなる支援者が集まっていきます。つまり、行列が行列を呼ぶシステムなのです。なので最初の支援者を(支援額を)意識して集めることが重要になってきます。

クラウドファンディングは募集すれば勝手に支援者が集まるシステムではありません。そんなに都合の良いシステムではないのです。自らが支援者を集め、その支援者が支援者を集めることで、今まで知らなかった支援者が増えていくのです。

支援者が増えれば、資金とともに多くのデータが集まります。これはあなたの事業にとって非常に有益な情報です。最終の目的はこの情報にあるといっても過言ではないと思います。なので、この夢のようなシステムを効果的に使うために、最初の支援者を意識してほしいと思います。それがコツだと言えます。

資金調達以外の本当の効果に目を向けて、クラウドファンディングを上手く利用してほしいと思います。特に創業期においては。

 

 

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西谷 佳之
大阪生まれ 神戸大学大学院経営学研究科修了(MBA) 大学卒業後地方銀行勤務。約10年 4ヶ店の銀行支店長経験後リレーション推進部地域創生室を経験し、大阪大学産学共創本部特任研究員として大学発ベンチャーの創生に関わる。 一方で、中小企業支援をライフワークとし、テイクオフパートナーズを立上げ。銀行ではほぼ全ての期間で法人取引を担当した経験や、支店長として着任したすべての店舗を業績表彰店に導いた手法とMBAの知識をもとに、個社別のコンサルタントや経営関連講演を行うことで事業サポートを行っている。 銀行の枠組みを超えた企業サポート手法のひとつとしてクラウドファンディングの可能性に魅力を感じ、クラウドファンディングを利用した事業サポートに注力している。 また、起業志向学生のサポーターとして大学発ベンチャー創生にも携わっている。

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