コロナ禍により、多くの方々の収入が大きく減少してしまい、通常の資金繰りに影響が出ています。
特に毎月の固定支払いが大変になって来ています。
ローンの支払いなどは金額も大きく、またボーナス返済を選択している方は1月の支払いは重くのしかかって来ます。
返済をすることが難しくなり、自宅売却を考える方々も多いと聞きます。
一方で、売却代金がローン残債よりも少なく、売却してもローンが残ってしまうということも多いようです。
そういった方々にお伝えしたくてブログをアップしました。
売却すれば次に住むところも考える必要があり、その家賃もローン返済額と比べて格段に安くなることは無いのではないでしょうか。
売却して、新たな家賃とローン残債の返済を背負うということは、今の返済と比べてどれくらい楽になるのでしょうか。
今一度、資金繰りを計算してどちらが良いか検討する必要があると思いますが、売却する前にもう一度ローンに向き合うことで、新たな道が広がる可能性があるのです。
自宅はすぐ売却しなくてよい
そもそも物件の値下がりリスクは誰が負うべきなのでしょうか。
ローン申込み時に銀行は査定をします。
この査定額は申込み時の時価評価を基準にしていますが、申込み時の売買価格ではなく、あくまで路線価を基準にした銀行独自の(保証会社独自の)基準で決められます。
さらに、査定額の70%程度に減額され、その金額がローン融資額の基準となるのです。
何故そこまで慎重に査定額を低くく抑えているのに、売却額とローン残高の差額を返済しなければならないのかが疑問ですね。
差額分を支払う必要があるのならば、最初の査定は実態に沿った形で行うべきなのではないでしょうか。
購入額 = ローン額 むしろ、購入額+リフォーム額 = ローン額
としても良いのではないかと個人的には思います。
ただ、現状は差額分の返済は借入人が負うことになっています。
このローンは『リコースローン』といい、日本では一般的です。
逆に担保である自宅を売却しても返済出来なかった金額については支払わなくて良い融資スタイルもあります。「ノンリコースローン」と言います。
ただ、査定は厳しくなるので(物件の評価額から今まで以上に将来の値下がり率を掛ける)、大きく減額され、ローンは通りにくいのが現状です。
値下がりリスクは折り込み済みでは?
下がって取りっぱぐれるのは銀行の査定が甘かったからで、銀行の問題なんじゃないか。
と思われる人もおられるのではないでしょうか。
たしかに、リコースローンの場合リスクを全て折り込んでいるとは言えません。
おまけに、多くの場合、実際に物件売却を行ったり、差額分の残債の返済の回収業務をするのは銀行ではなく保証会社なのです。
住宅ローン借入の時に、保証料と言われるものを支払ったことがあると思います。
抵当権の設定も、多くは銀行本体ではなく銀行から斡旋された保証会社が行っているのではないでしょうか。
保証会社の保証って?
そう言えば、住宅ローン借入のときに保証会社に保証してもらったな、と思い出される方もおられると思います。
「保証料支払っているのだから、返せなくなった場合は保証してくれている保証会社が支払ってくれないのか?」
そう思われるのではないでしょうか。
返済により債務が無くなるわけではなく、債権者が銀行から保証会社に変わるだけなのです。
たしかに、返済不能となった場合 保証会社は借入金を一括で返済することになります。
しかしこれは、銀行に対して返済しただけ。物件を売却した場合、抵当権者の保証会社に売却資金が入り、銀行に返済されます。
そして債権者が保証会社に代わり、保証会社が残りの債券の返済を迫ってきます。
保証料って意味ないのではないか?
と思われるのではないでしょうか。
ここではあまり詳しくは述べませんが、保証会社の保証はあくまで銀行から借入出来るようにするためのものだということです。
自宅売却をしても返せない
結局のところ、自宅が値下がりしていた場合は売却しても住宅ローンは完済出来ないということなのですね。
そして、物件値下がりリスクや貸し倒れリスクは銀行ではなく保証会社が負っているということもご理解いただけたかと思います。
「それでも返済額が大きくて返済出来ないので自宅を売るしかない。」
という方に自宅売却の前に行って欲しいことがあります。
それは、住宅ローンを借入している銀行に相談に行くことです。
「銀行に行っても収入は上がらないし、返せないことに変わりは無い」
と思われるかも知れません。
「敷居が高くいて行くことに対して気が引ける」
という方もおられると思います。
実はそんなことは気にしなくていいのです。
月々の返済額を減らすことも可能なのです。
銀行も鬼ではありませんので、相談には乗ってくれます(担当者にもよるようですが)。
さらに、債務者の相談に前向きにのることは国からの指示でもあるのです。
金融円滑化法
金融円滑化法は平成21年12月4日に施行されました。
金融機関は出来るだけ債務者の相談に乗り、返済計画を考え返済を無理ないものにして続けていくことを義務付けられました。
この法律によって、市場の競争原理は崩されたとも言われています。
金融機関が過度に返済を先送りするなどしたことで、本来淘汰されるべき企業が生き残り、返済する資金を得るため赤字でも仕事をとることで市場価格が低下。デフレが起きる要因になったというものです。
一面では悪しき法案とも言われているこの金融円滑化法ですが、反面 金融円滑化法のおかげで生き残った企業も多いことは否定出来ません。
金融円滑化法の正式名称は『中小企業金融円滑化法』といい、中小企業の救済を目的としたものですが、実はこの法律、中小企業のためだけのものではないのです。
内容には個人、住宅ローンも含まれているのです。
金融円滑化法は平成25年3月末に終了しました。
しかし、その時点で金融庁からは各金融機関に「法案は終了するが、対応はこのまま続けるように」と通達されています。
金融庁のHPには「金融機関が引き続き円滑な資金供給や貸付条件の変更等に努めるべきということは、今後も何ら変わりません。」と書かれてあります。
金融庁のHP関連
https://www.fsa.go.jp/policy/
https://www.fsa.go.jp/common/
メガバンクのHPより
https://www.bk.mufg.jp/kariru/
https://www.smbc.co.jp/kinyu_
https://www.mizuhobank.co.jp/
つまり、銀行に相談に行っても無下には断らないということなのです。
「返せないならば即自宅取り上げ」と言うことにはなりません。
ただ、注意すべき点があります。あくまで、返済が滞る前に行くことです。
もし、仮に返済が滞ってしまっていた場合は、少なくとも相談と同時に遅れている返済分はなんとか解消すべきです。
借入の返済が滞ったりすると、期限の利益(詳しくは省きますが、約定どおりであれば、借主には期日まで借りる権利。貸主には期日まで貸す権利があると言うことです)の喪失となり、銀行はすぐに返済を迫る可能性もあるのです。
また、延滞のまま置いておくと、自宅を競売にかけられてしまう可能性が高くなってきます。
競売になってしまうと、有無を言わさず自宅を退去させられることになってしまいます。
あくまで、正常債権であることが相談に乗ってもらえる要件だと思います。
(軽度な延滞などでしたら、普通に相談に乗ってくれるとは思いますが、大概の場合は計画の変更を実施する前には延滞の解消を言われます)
金融機関に相談に行くことで返済出来る金額で返済していけるようになる確率は非常に高いのです。
相談にいく金融機関窓口は、当初借入した金融機関に連絡するのが良いと思います。
ただ、すでに債権買取会社に売却しているケースも多いので(実際、メガバンクなどは早くからこのようなケースを取っていたと思います)実際の交渉窓口が銀行と異なる場合もあると思いますが、とりあえずの窓口は借入した銀行になります。
収入の見通しによっても違いますが、
【 3年間 月々利息+1万円、その間に収入を確保し、3年後から通常返済に戻す 】
といった形態など個々に相談が出来ると思います。
してはならないことは、無断で返済を滞らせること、貸主に無断で自宅売却することなどです。
また、コロナ禍が長引いていることから、政府が新たな金融円滑化法のような法案を可決するかも知れません。
そうなればもっと有利な条件で返済猶予出来るかも知れないですね。
その場合でも延滞していると恩恵に預かれる可能性は低くなります。
銀行に相談した結果、仮に売却することが最善の策だということになったとしても、競売の時のように即退去しろとは言われません。
その辺りの時間的猶予も与えられると思います。
なので是非、自宅売却に進む前に銀行に相談に行って欲しい時思います。
また、不動産会社によっては「リースバック」を取り扱っているところもあります。
これは、一旦不動産会社が物件を買い取るのですが、そのあとは賃貸物件として家賃を支払い住み続けることが可能なスキームです。
抵当権が設定されているので、銀行(保証会社)に声を掛けないといけませんが、この方法も今の自宅に住み続ける方法のひとつですね。
自宅を売却して住処を変え、残債の返済と新しい家賃を抱える前に、是非銀行に相談し返済条件の変更を試みてほしいと思います。
もう少し具体的な内容は以下のブログをご参照ください
テイクオフパートナーズ代表
MBA
2級知財管理士
2級ファイナンシャルプランナニング技能士
西谷 佳之
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他各種ビジネスセミナー、個別コンサルタント等を賜っております。
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