MBA ファンディングアドバイザー 西谷佳之

金融機関経験を活かした中小企業の創業・経営支援

マーケティング 地域創生

『よさこい祭り』にみる イベントマーケティングを成功させる3つの法則

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イベントマーケティング

イベントマーケティングは企業などが主催するイベントによりマーケティング活動を行うことです。

古くからの手法だと思われますが、インターネットが当たり前となった現在において、イベントマーケティングは有効なマーケティング手段として見直されています。

イベントマーケティングのメリットは

・顧客にリアルな体験を提供できる
・顧客とのやりとりが可能でPR効果が非常に高い
・ニーズの高い顧客にリーチ出来る

ということです。

人が覚えていられることは、見たことの20%だが、体験したことの80%であると言われています。

非常に有効で効率的なマーケティングなのです。

ただし、イベントをどう拡散していくか、参加者をどう集めるかが非常に重要になってきます。

セミナーや講習会、キャンペーンなどを手がける場合、拡散していくことは非常に重要で難しいことです。

全国に展開している『よさこい祭り』は、ひとつの地方のイベントでしたが、特に拡散のための動きをすることも無かったにもかかわらず、現在全国に広がっています。
地方創生イベントとしても、非常に重要な地位を築くに至りました。

なぜ『よさこい祭り』が広まったのか。イベントマーケティングを成功させるうえでの一要因は『よさこい祭り』にありました。

全国に広がった『よさこい祭り』

『よさこい祭り』は戦後1954高知県で第一回が開催されました。
なんでも「阿波踊り」に対抗するような祭りを開催したいと言うのが、当初の思惑だったらしいですね。

ところが、今や「よさこい」は全国200以上の市町にまで広がり、都道府県で言えば、開催されていないのは「阿波踊り」の徳島県を含む4県のみとなってしまいました。

何故、これほどまでに急速に広がったのでしょうか。何が各地の人びとを惹きつけるのでしょう。

地方創生としての『よさこい祭り』

『よさこい祭り』は当初、高知市の商工会議所が企画しました。振り付けは日本舞踊の師匠方が行い、最初は普通の盆踊りだったようです。

ただ、「阿波踊り」が素手なら、こちらは[鳴子]を持とうとの地元作曲家である武政氏の発案もあり、最初から[鳴子]を鳴らしながらの踊りでした。

楽曲「よさこい鳴子踊り」のオープン化

『よさこい祭り』が広まるきっかけとなった1つの要因は、作曲家の武政氏が楽曲「よさこい鳴子踊り」のアレンジを一般に認めたことです。著作権を公開したことで、サンバ、ロックなど いろいろな曲調の楽曲「よさこい鳴子踊り」が誕生し、一気に『よさこい祭り』の幅が広がったのです。

トヨタは2015年に水素カー特許をオープン化し、多くの企業の市場参入を図ったわけですが、おなじような手法ですね。

『よさこい祭り』参加のルール

さらに、『よさこい祭り』が広がった要因はそのルールにもあります。

『よさこい祭り』の現在の参加ルールは

・参加チーム人数は1チーム150人以下であること

・鳴子を持って、かつ前進する踊りであること

・「よさこい鳴子踊り」のフレーズを、舞踊時に流す音楽のどこかに必ず入れること

・地方車(舞踊のための音楽を流す車)は1チーム1台であること

大まかにはこれだけです。

非常にシンプルでフレキシブルなルールです。

これさえ守っていれば、誰でも『よさこい祭り』で踊ることが出来ます。こういった手軽さも、参加者に受けたのでしょう。

自由度の高い手軽さが、若者に受け参加者は増加していった。

地方車でロックバンドが演奏し、その後を舞踊チームが踊り街を練り歩くといった、独特の形は、その手軽さと曲調の自由度から、若者とくに女性に受け入れられました。

参加チームは年々増え続け、2018205チームが参加する一大イベントとなっています。2018年の高知県のよさこい祭り経済効果は、96億円だそうです。地方創生イベントとしたら大成功ですね。

他府県への展開

他府県に大々的に広まっていったきっかけは、やはり札幌のYOSAKOIソーラン祭りの成功です。
高知で見た『よさこい祭り』に感動し、是非地元北海道でも開催したいと長谷川氏が持ち帰り、広めました。

YOSAKOIソーランのルールは、『よさこい祭り』とほぼ同じですが、楽曲の一部に「ソーラン節」を入れることで地域色を出しています。

これをきっかけに、各地で地元の伝統曲などを組み込んだ『よさこい祭り』が開催され出しました。

『よさこい祭り』は組み込む曲を変えるだけで、いろいろな地域色を出すことが出来る祭りのコアシステムとなったのです。

『よさこい祭り』は地元が中心で自治体からの補助などもあり、コミュニティ・ビジネスの要素が強いですが、YOSAKOIソーラン祭りは、その成り立ちもあり、独自採算で商業色の強いイベント・ビジネスとなっていますね
女優の広末涼子さんが『よさこい祭り』で踊るために毎年帰省されていた話は有名ですが、やはり地域色が強いという面で『よさこい祭り』は他と一線を画しますね

『よさこい祭り』の強み

『よさこい祭り』の本当の強みは、[鳴子を持って演舞する]という形態をコンテンツ化し、ブランド化出来ていることです。

実際のところ、各地で踊ったチームが最終的に高知の本場『よさこい祭り』で踊りたい とエントリーしてくる数が増えているようです。
演舞者からは「本場」「元祖」と意識されることで、『よさこい祭り』は、すでに各地のチームが参加するばかりでなく、他国のチームも出場しています。

[鳴子を持って演武する]かぎり、他地区の「◯◯よさこい祭り」は、本家よさこい祭りの亜流でしかありません。

そして、今さら独自色を出して、「よさこい」の名称を除外したとしても、鳴子を持って演舞しているかぎり「よさこい」とブランド認識されてしまうのです。

「よさこい」は新たなコミュニティーを提供した

うまく「よさこい」が広がった背景には、先述の「各地域の伝統曲などをアレンジし地域色を出せること」に加え、

・チーム毎に独自色を出すことで他のチームと差別化を図れ、各チームにおいても一体感を醸し出せること、

・時代に合わせ(音楽、踊り)変化出来る体制であること、

などが挙げられます。

もともと、商店街毎、地域毎に独自色を出して一致団結し、祭りで競い合うといった文化祭と体育祭があわさったようなもので、伝統を頑なに守り続ける従来の「祭り」とは意味合いが違うのです。

押し付けでないコミュニティーとそこから得られる共感こそが「よさこい」を上手く 地方創生コンテンツ化し、ブランド化出来た要因なのです。

各地が地方創生コンテンツとしての「よさこい」を欲したわけ

では、各自治体の立場からみてみましょう。

本来 祭りは、感謝や祈り、慰霊のために神仏および祖先をまつる行為(儀式)です。

そのため、数々の決まりごとがあります。
そして、それは地方によって異なります。

しかし、『よさこい祭り』は神仏及び祖先をまつるというよりは、地域の活性化色が強いイベントです。

高知でも、地蔵盆や地域毎の祭りは存在します。それらの祭りと『よさこい祭り』が両立しているのは、祭りの捉えられ方が違うからなのでしょう。

コミュニティー不足の現在だからこそ、地方創生には地域の活性化につながる新たなコミュニティーが望まれていました。

独自色が出せるコミュニティーは、コンテンツ不足の各地にとって非常に魅力的です。コストもかからないことがさらに各地での導入を促したのだと思われます。

また、「YOSAKOIソーラン」のイベントとしての成功と、それがインフルエンサーの目に止まり一気に拡散されたことも大きな一因であったでしょう。

イベントを利用した企業アピール

では、参加企業の立場からはどうでしょうか

『よさこい祭り』には多くの企業がチームを出しており、すばらしい踊りでその名前を知られています。

よく受賞されている企業は

ほにや(高知:和雑貨ブランド)
旭食品(高知:食品等卸売業)
ちふれ(埼玉:化粧品)
濱長(高知:料亭)(順不同 敬称略)

などです。帯屋町筋や万々などの地元商店街のチームや、四国銀行、NTTドコモなどの大手企業もチーム出場しています。

なぜなら、高知の『よさこい祭り』だけでも のべ約100万人が見にくると言われており、十分にPR効果が見込めるからです。

また、本場の強いチームということで一目おかれるようになれば、企業は「本場」というブランドを引っさげて、全国200以上もあるよさこい祭りにエントリーすることが出来ますし、地域の人々に広告宣伝出来ることとなります。

実際、ほにや は よさこいチームで中国にて自社PRすることで、多くの現地メディアに取り上げられ、推定1000万人にアプローチ出来、一気に中国での知名度が上がり、出店の要請まで受けることが出来ています。

このように、参加企業においては、イベントというよりは実際に多くの人に直接目にしてもらうためのプラットフォームとして非常に利用価値が高くなっていることが『よさこい祭り』のブランド力に繋がっているのです。

イベントマーケティングの成功要因

『よさこい祭り』というイベントがブランド化され全国に広がっていった要因は

ルールが分かりやすくシンプル

許容度(アレンジの可能性)が高い

協同共感を得ることが出来る

という事です。

少しのルールを守るだけでコンテンツを利用することができ、
加えて参加者が独自色を出せる。
さらに みんなで作り上げる要素が折り込まれており、
共感を生むポイントがあることが、イベントの成功要因なのです。

自由度の高い、それでいて参入障壁を築くべき根本的なルールだけを抑えておくことで、拡散出来る魅力的なイベントが提供出来るのだと思います。

地域、参加者、サポーター それぞれに利益がある【三方よし】だからこそ、全国に広まっていったのですね

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西谷 佳之
大阪生まれ 神戸大学大学院経営学研究科修了(MBA) 大学卒業後地方銀行勤務。約10年 4ヶ店の銀行支店長経験後リレーション推進部地域創生室を経験し、大阪大学産学共創本部特任研究員として大学発ベンチャーの創生に関わる。 一方で、中小企業支援をライフワークとし、テイクオフパートナーズを立上げ。銀行ではほぼ全ての期間で法人取引を担当した経験や、支店長として着任したすべての店舗を業績表彰店に導いた手法とMBAの知識をもとに、個社別のコンサルタントや経営関連講演を行うことで事業サポートを行っている。 銀行の枠組みを超えた企業サポート手法のひとつとしてクラウドファンディングの可能性に魅力を感じ、クラウドファンディングを利用した事業サポートに注力している。 また、起業志向学生のサポーターとして大学発ベンチャー創生にも携わっている。

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