先日、トリップアドバイザー日本法人の牧野社長の講演に参加する機会をいただきました。
トリップアドバイザーとは、世界49の国と地域にて700万以上の宿泊施設、レストラン、観光スポットと繋がっている、世界最大の旅行口コミサイトです。サイトの平均月間訪問者数は 4.15億人、口コミ情報数は 5.35億件。すごい数ですね。また、200以上のホテル予約サイトを比較し、最安値を選ぶ なんてことも出来るようです。これだけの情報が集まるサイトなので、旅行をしたいと思う人は事前に調べる為に訪問するでしょうし、そうなればさらに閲覧数や情報量も上がっていきますよね。まだまだ規模は大きくなっていくのでしょう。
外国人旅行者訪日の現状
この表は、平成28年度の国交省観光白書にて発表されているものですが、訪日旅行者は4年連続で過去最高を更新しています。日本への外国人旅行者は増加の一途をたどっているのです。一方で、厚生労働省が発表した平成28年度の衛生行政報告によると、ホテル・旅館施設件数は、平成27年度末には 50,638件、平成28年度末は 49,590件 と 1,038件減少しているのです。しかし、客室数を比較すると、平成27年度末には 1,547,988室、平成28年度末は 1,561,722室 と 13,734室増加しています。これは、旅館が減ってホテルが増加していることを表しているのですが、外国人旅行者がホテルを好んでいるからそうなっているのか、ビジネスモデルとして旅館形態よりホテル形態が勝っているのか、そのあたりはここからは読み取れません。
地域を絞って見てみますと、近畿圏においての営業許可件数と営業廃止件数の差は、
京都:818件 大阪:190件 和歌山:33件 兵庫:12件 滋賀:10件 奈良:▲17件 三重:▲75件
と地域によって大きく差が出ています。経年で数値を並べていくと、また違ったことが見えてくるのだと思いますが、地域へと外国人旅行者を誘導していくことも地域活性化へのひとつの手段ではないかと思います。
トリップアドバイザーは差別化に繋がるのか
このように、外国人旅行者数が増加の一途をたどっている状況のなか、観光に携わる方、地域においては、外国人観光客の興味を引くこと、外国人観光客に来てもらうことをいち早く始めることは、将来的に他との差別化を図ることにつながるのではないかと思います。外国人旅行者を呼び込むためには、外国人旅行者の知っているものがあれば目を引く確率が高くなります。「共感」ですよね。得に異国の地において共感できるものがある場合、親近感は大きく増すと考えられます。そこでトリップアドバイザーはどうかと思ったわけです。
行く場所を決めるときに
どこに旅行するか、旅行者は事前のリサーチを行います。海外ならなおさらだと思います。その際に口コミサイトを調べる人も多いでしょう。トリップアドバイザー上に名前があれば、まず旅行に行く前のリサーチ時に目に入ります。私たちが「食べログ」の記事と点数を見て食事に行く先を決めてしまうのと同じですね。点数の確固たる基準なんて何もない。口コミで各自が勝手に点数を付けるのですが、それが指標になる。行き先を決めるときには、誰もが何かの基準を持って、行く・行かないを決めるのではないかと思います。それぞれの基準があるのでしょうが、行く・行かないを決めるひとつの基準として口コミサイトは有効なのです。
無いはずの場所で
また、外国人旅行者は、このフクロウのようなトリップアドバイザーのマークを、おそらく日本人より知っているでしょう。だとすれば、旅行先に行ったときに、フクロウのようなトリップアドバイザーのマークがあれば、かなりの確率で目を向けてくれるのではないでしょうか(店や地域まで呼び込む力があるかどうかはわかりませんが、少なくとも2度見くらいはしてくれるでしょう) このマークがあることで、外国人観光客の親近感を得、気にかけてもらえるなら、たとえば商店街のようなところで商売している店舗などは 横の店舗との差別化に繋がる可能性はありますね。
トリップアドバイザーの活用
トリップアドバイザーへの登録は、いくつかの簡単な規則はあるものの、ホテル以外のレストランなどの業態は無料で登録が可能なのです。(ホテル業については、トリップアドバイザー社のビジネスシステムを利用するホテルのみ一部有料となるようです)旅行者から一貫して高い評価を得ている施設には、エクセレンス認証なるものが与えられ、特別のエンブレムも与えられるとのことです。(これは強い差別化アイテムになりそうですね)
高評価を得られるポイントとは
講演の中で、牧野社長が高評価を得られる極秘ポイントについて話をされていました。「たとえば、レストランなどで言えば、食事の美味しさよりも、店員の人柄やコミュニケーション能力の高さが口コミの評価に大きく影響する」とのことです。外国人に人気の国内レストラン上位30位のうち13件が関西地方の店舗であることは、関西人のフレンドリーなコミュニケーション能力が影響しているのではないかと思います。
また、「まずは言葉が通じる対策が必要」とも。多国語が話せるに越したことはないのですが、そこまでせずとも、メニューなどを数カ国語で作るとか、店内案内を英訳しておくとかは必須だそうです。
例として、黒門市場のプライスカードが示されましたが、イメージとして縦長です。価格の下の説明(この魚は旬ですよ、みたいな)が多い。数カ国語で同じことが書かれてあるので、どうしても縦長になってしまいます。また、挿絵とかも重要そうでした。ポイントをまとめてみると、
・コミュニケーションを十分に取る ・一緒に撮って写真を多くアップする ・コメントに対する返信は必須 ・言語を変えて、店内表示やプライスカード、メニューを作っておく といったところでしょうか。
口コミサイトを有効に活用する
効果があるかどうかはやり方次第なんでしょうが、私が知っている、ある日突然外国人の行列が出来た飲食店なんかは、トリップアドバイザーを使っているようです。この世界規模のツールをうまく集客に使うことも考えていかないともったいないですね、コスト面からも。トリップアドバイザーに限らず、口コミサイトをうまく使うことは、集客・差別化 いろんな面において有効な手段だと思います。
トリップアドバイザーが発表している 2016年人気の観光スポットの比較(大阪)において、日本語と外国語で書かれた口コミ数のトップ10を比較してみると、日本語と外国語両方ともにトップ10入りしている大阪の観光地はどこだと思われますか。日本人、外国人ともに人気のあるスポットと言えるのでしょうが、数ある観光地の中で、「箕面の滝」と「サントリー山崎蒸留所」だけなんです。 この要因を分析していけば、集客に関する何か秘訣が出てくるかもしれませんね。
テイクオフパートナーズ代表
MBA
2級知財管理士
2級ファイナンシャルプランナニング技能士
西谷 佳之
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