MBA ファンディングアドバイザー 西谷佳之

金融機関経験を活かした中小企業の創業・経営支援

クラウドファンディング

クラウドファンディングはマーケティングツールかファンディングツールか

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クラウドファンディングはファンディングツールではなく、マーケティングツールだと言われてるのをよく聞きます。さらに、日本のクラウドファンディングは手数料が高く資金集めには適さないという声も聞きます。
果たしてそうなのでしょうか。今回はクラウドファンディングの使い方について考えてみました。

マーケティングツールとしてのクラウドファンディング

クラウドファンディングをマーケティングツールとして使うことでわかることは大まかに以下のようなことです。

・支援者のリターン選択支援を分析することでわかること

・価格帯
・支援者の地域
・好まれる形態や色相など
↑これらの性別毎、年齢毎の嗜好

 
そもそも市場にニーズがあるかないか

プラス:協力企業や販売業者が現れる

これらのデータが1回のプロジェクトで集まることになるので、確かにマーケティングツールとしては優秀だと思われます。
実際のところ、これらのデータがあれば次のターゲットを絞りやすくなりますね。

しかし、これらのデータは本当に有効なマーケティングデータなのでしょうか。

クラウトファンディングがマーケティングツールとなるべき条件

マーケティングツールが効果を発揮するためには何が必要でしょうか。

〇 広く一般に情報が拡散される必要がある

これが非常に重要です。

クラウトファンディングには1/3の法則というものがあります。
統計的に、クラウドファンディングにお金を支払うのは
1/3が知人、
1/3が知人の知人、
1/3が全く知らない人(本当の投資家、支援者)
だというものです。

従って、クラウドファンディングで資金を集める場合、
まずは1/3の知人に確実にアプローチする必要があるのです。
そこから拡散していくことになります。

最初の数日で目標額の30%を越えれば成功確率が大きく上がるというデータもあります。
(パレードの法則ですね)

もちろん、1/3集められない、集めてもそれ以上伸びずに終わる 案件も多くあります。

ただ、マーケティングの観点から言うと、
お願いベースで集めた支援者に対するマーケティングデータは
データ的に偏っていると言わざるを得ません。
(知人のみをターゲットとしてアポローチする場合は別ですが)

本来は、最後の1/3のみが調査すべき市場であり、
本来のマーケティングターゲットということになります。

選挙の出口調査をご覧になったことがあると思います。
開票が終わっていないのに当選確実とされるものです。あれは統計の手法を使っているのですが、
サンプルをいかに偏らせないかが重要となってきます。
中立的な調査結果を得るため、無作為で偏らないようにサンプルを広く取っていくわけですが、
そうでないと正しい結果が得られないのです。

クラウドファンディングを使ったマーケティングも出口調査と同じく、
サンプルが偏らないことが大事なのです。
サンプルが偏っていたために、実際に支援者データに沿ってターゲットを絞り販売したものの、全く売れなかったということも十分にあり得ます。
特に人間関係で購入した人たちの嗜好はなるべく外して考える必要があると言えます。

しかし、最初に事業を始める人の大半が、広く一般に資金を集めることは出来ません。
人脈や伝手を頼って泥臭く資金を集めることから始まるのではないでしょうか。

つまり、広く偏らずにサンプリングすることはクラウドファンディングでは難しいと言えるのです。
もちろん、ターゲットを知人などに絞るのでしたら、限定したデータ取得は可能です。

一方で、大企業、有名企業など広く拡散できる起案者
クラウドファンディンぐを優秀なマーケティングツールとして利用出来ると言えます。

その知名度から、広く一般的なサンプリングが可能だからです。

つまり、クラウドファンディングをマーケティングツールとして利用するには、
ある程度商品や企業の認知力が必要だといえます。

クラウドファンディングをする人が求めているもの

では、本来クラウドファンディングをしようと思う人たち、
行う人たちは何を求めているのでしょうか。

クラウドファンディングをマーケティングツールとして利用する場合、
2~3回の起案によって商品のターゲットと形状などを定めていくことになると仮定します。

そのうえで、大手2社(CAMPFIREとMakuake)の
2022年2月27日(最終日曜日) 期日のプロジェクトの起案回数をみてみました。

CAMPFIREはほとんどが初めての起案
(94プロジェクト 92起案者のうち67起案者71%が初めてのプロジェクト)

Makuakeは約半分が初めての起案
(266プロジェクト248起案者のうち130起案者48%が初めての起案者 
 30%が2~4回目、5回以上は22%

Makuakeはプロダクトに強いのですが、複数回起案している人が多い。
また、個人事業者ではなく組織の起案者が多いイメージがあります。

プロダクトの販売にはマーケティングが欠かせませんが、
Makuake5回以上起案している人(全体の22%。中には100回以上の起案者も)
についてはマーケティングを行うためではなく、
Makuakeサイトを訪問する顧客層にターゲットを絞って販売していると推測されます。
(理由はプロジェクトを見てくださればわかると思います)

CAMPFIREの起案はMakuakeと違い、
イベント(寄付よりのイベント含む)や個人の事業、音楽芸術関連など多様にわたっています。
1回の起案が多いことや、小規模の起案が多いことを考えると、
マーケティングを主として利用している起案者は少ないと推測されます。

2~3回目の起案者がマーケティングツールとして使用していると仮定した場合、
CAMPFIREMakuake70%程度の起案者がマーケティングに使っていないことになります。

言い換えれば、起案をしている7割の人は事業目的、つまりはお金集めのために
クラウドファンディングを行っていると言ってもよいのではないでしょうか。

クラウドファンディングはファンディングと名の付いている以上、
起案する人は、お金を集めたい(“商品を売りたい“を含め)と思って利用しているのだと思いますし、
お金を集めるために気軽に行動できるツールがクラウドファンディングなのだと思います。

私は事業家志向の学生に向けて、
クラウドファンディングの仕組みなどをお話しする機会をいただいておりますが、
最終的には実際にクラウドファンディングを行うところまでをサポートしています。

クラウドファンディングを個人で行うことで学んでもらいたいことは、
資金を調達するということ、つまり事業の流れをつかむことなのです。

当然、起案前にはマーケティングも行いますが、
クラウドファンディングをマーケティングとして使用する前段階で、
クラウドファンディングでお金を集めるため、商品を売るためにマーケティングするのです。

誰が資金を払ってくれるのか、どこで利益をとるのかなどを意識するために、
実際にクラウドファンディングを使用することを勧めています。

 

クラウドファンディングがお金集めではないという理由

クラウドファンディングがお金集めツールにならない理由として言われているのが
「コストがかかる」ということです。

クラウドファンディングで支援を集めると、梱包や広告宣伝、リターンの発送などに意外とお金がかかってしまう。
加えて手数量を20%も取られると原価割れしてしまう。というものです。

そもそもクラウドファンディングが広まったときには、
お金を集めるツールだとして利用した人がほとんどだと思われます。

ただ、クラウドファンディングが一般化していくうえで、
いつのまにか「起案すればお金が集まる」と思われはじめ
実際起案すると、手数料などがかかって、集まっても経費で全部飛んでいく、
逆にマイナスだ、などとなってしまった。

そこで、クラウドファンディングの次の使用方法としてマーケティングが提案された
(もう一度起案してもらうためにかも知れません)との流れなのかも知れません。

しかし、実は、クラウドファンディングを使ったお金集めは十分可能なのです。

商品の販売単価を中心として引き算で考えるので、
クラウドファンディングは儲からないとなってしまうのですが、
そもそもその考え方が違うのですね。

リターンがなくともクラウドファンディングは起案できる

極端な話ですが、寄付型でなくても、リターンが無くてもクラウドファンディングは起案でき、資金も集められるのです
お礼のメールなど、物ではない、起案者の努力だけでなんとかなるリターンだけでも資金は集まります。

プロジェクトを支援する価値 これを支援者が感じると
支援をすることに抵抗はなくなります。

価値をどのように提供するか、これさえ出来ればお金は十分に集められます。

実際に私がかかわった企業のプロジェクトは、リターン商品はほぼ無かったですが、
2,500万円のご支援をいただくことが出来ました。

どのように価値を感じてもらえるかがポイントとなるのです。

クラウドファンディングで資金を集めやすくなっている

また、最近の傾向として、クラウドファンディングで集まる資金がどんどん増えています。

3年前、クラウドファンディングで集まった日本最高額は1億3,200万円だったと思います。

ところが、現在は以下の通りとなっています。(2022年2月17日時点)

(各サイト掲載分上位3件をピックアップ)

Makuake

  • 6億2,365万円 
  • 5億926万円
  • 3億7,649万円

CAMPFIRE

  • 3億347万円
  • 2億9,361万円
  • 2億5,956万円

READYFOR

  • 2億6,948万円
  • 2億4,706万円
  • 2億634万円

(他に基金として行ったもので 7億2,646万円がある)

 

最高プロジェクトが大幅更新されているのが分かると思います。
詳細をお知りになりたい方は各サイトにてご確認ください。

 

案件を調べると、集まるポイントが見えてくると思います。
このあたりは、また別の機会にお話しできればと思います。

(もちろん、学生たちにはお話させていただいております)

多くの事業者はファンディングツールとしてのクラウドファンディングを求めている

クラウドファンディングはその名の通りファンディングツールです。
ただし、お金集まるツールではありません。

お金集めるツールなのです。

能動的に動くことでお金を集めることが出来ます。
待っているだけでは、起案しただけでは、お金は集まりません。

当然、ターゲットにリーチできれば、広く拡散できれば
マーケティングツールとしても優秀なツールです。

しかし何よりも、クラウドファンディングは
今すぐ資金を集めることが可能なツールなのです。

昨今、間接金融から直接金融へのシフト確実に行われていると思います。
低金利もあり金融機関の融資対する姿勢も少し変わってきました。

また、市場からの調達手法もいろいろ出てきました。

その中の一つとしてのクラウドファンディング
今のトレンドをよく見ればどうすれば調達出来るかがわかってきます。

クラウドファンディングはお手本がたくさん転がっているのですから。

クラウトファンディングを上手く使って資金を集めてほしいと思います。

 

 

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大阪生まれ 神戸大学大学院経営学研究科修了(MBA) 大学卒業後地方銀行勤務。支店長として約10年 4ヶ店 全ての支店を業績表彰店舗に導くことに成功。その後推進部地域創生室を経験し、大阪大学産学共創本部特任研究員として大学発ベンチャーの創生に携わる。東京にてボードメンバーとしてベンチャー参画し、現在は大阪にて大学発ベンチャーのCFOとし、資本政策や海外子会社設立など経営に参画するとともに、新規商品開発にも関わる。 一方で、中小企業支援をライフワークとし、テイクオフパートナーズを立上げ。銀行での経験やベンチャー経験、MBAの知識をもとに、事業サポートを行う。 クラウドファンディングなどのツールによる直接金融をサポートすることで金融機関融資に頼らない資金調達、創業をアシストする。 また、セミナーなどを通じ起業志向学生をサポートすることで新しい事業創出の一助を担うことを目標としている。

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