MBA ファンディングアドバイザー 西谷佳之

金融機関経験を活かした中小企業の創業・経営支援

事業計画 創業

創業して株式会社を作るという選択 3つのタイミング

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個人事業と会社設立、どうしたらよいか悩んでいる方がたくさんおられます。ネット上で検索すれば、両方のメリット・デメリットについては沢山出てきます。

おおまかには、株式会社は信用力があり、税制面等で優遇があるけれども、費用がかかって煩雑になるといった感じでしょうか。

簡単に法人(株式会社)と個人事業の比較表を作ってみました。

このほかにも、
・法人は退職金が支払える
・生命保険料について、個人は12万円までの控除 法人は金額制限なく、一部または全額が費用に出来る
といったことなどでしょうか。

詳しくは、税理士の方など多くの方がネット上で教えてくださっているので、すぐにご確認いただけると思います。

ただ、メリット・デメリットがわかっても、会社を作ることに対して、
「大変そう」 「面倒くさそう」 「逃げられなさそう」
などと思い、二の足を踏んでおられる方も多いですね。特に女性創業者の方からのご意見が多いように思います。
そこで、今回は少し視点を変えて、リスク面からみた株式会社を作ろうかなと思っても良いタイミングについてお話させていただきます。

「自己資金だけでは足らなくなった時が、株式会社設立のタイミング」

これは著名な評論家の方もおっしゃっている株式会社設立のタイミングです。

もう、まさにそのとおりだと思います。事業を大きくしていく上で、資金調達は重要なポイントです。資金調達に関しては株式会社の方が圧倒的にメリットがあるので、自己資金以外の資金を投入して事業展開していくなら、株式会社にしたほうが良いということですね。

信用力の高い株式会社のほうが、金融機関からの融資も得やすいです。

さらに、株式会社の資金調達上のメリットとしては、借入金以外でも資金調達が出来ることです。

つまり、個人事業とは違って、資本金として資金を集めることが出来るのです。(出資や増資)
(以降、出資を受けることを、イメージしやすくするため「資本金調達」とします)

資本金として集めたお金は返さなくても良いですし、利息支払いの必要もありません。

(ただし、通常、利益が出れば配当金という形で利益の還元を行います)

資本金調達のデメリット

返済リスクの無い資金を調達出来るのですから、メリットしかないように思えます。たしかに、資金だけみればそうかもしれません。

しかし、資本金を増やすこと自体についてはデメリットも大きいのです。

資本金調達するということは、自分の持ち株割合(資本金に対する自分の出資金の割合)が減るということに繋がります。
どこが問題かをお話する前に、少し根本的な所に目を向けてみます。

株式会社は誰のもの?

この質問をすると、「自分が作ったんだから自分のものです」という答えが返ってくることが多いのですが、そうとも言えないのです。

さまざまな見方はありますが、実は法的には株式会社は株主のものなのです。

株式会社の重要決議は株主総会において、株主の判断により決定します。つまり株主が実権を持っているのです。

一人で株式会社を始め、自分だけが出資し株主である場合は、株式会社は自分のものと言えるのですが、資本金として資金を調達すればその他の株主も増えます。

つまり自分の持ち株割合が減るということは、他の実権者が増えるということなのです。自分の意見が通りにくくなることに繋がりますね。

資本金での調達も、メリットばかりではないということです。

出資比率の重要性

株式会社を運営する上において、出資比率は常に意識しておく必要があります。

特に 1/3 50%  というのがポイントです。

法的に出資比率が 1/3 以上になれば「特別決議の拒否権」が認められます。株主総会で決められる「定款の変更」「会社の解散や合併」といった会社経営の根本にかかわる議案を拒否出来ます。

50%以上となった場合は取締役や監査役の解任をするなんてことも出来てしまいます。
(ご自分が作った会社なのに、ご自分が会社を追い出される可能性も出てくるのです)

そういったことも踏まえて、資本金での調達を考えておく必要があります。

(『ホワイトナイト』という言葉をお聞きになったことがあるかと思います。悪意のある株主が出資比率を上げて会社の支配権を手に入れようとした時に、お金を出して資本を増やし、悪意ある株主の比率を下げ乗っ取られないように助けてくれる人・会社のことです)

ライブドアとフジテレビの一件でのSBIホールディングスが有名ですね
ただ、株式の買収を仕掛けること自体は立派な戦略なのです

「同じ志の仲間が集まった時が、株式会社設立のタイミング」

こういったことが株式会社では起こるので、会社を作るときには「信頼できる同じ志の仲間」がいることが重要です。

信頼できる同じ志の協力者が集まった時に、会社を作ることを考えましょう。

さきほどの出資割合においても、協力者に出資してもらうことで出資割合が守れ、会社の運営が思う通りに安心して出来ます。

また、株式会社になると、決算など多くの事務が増えますが、信頼できる仲間と分担できることは大きなメリットです。
会社の方針を話し合ったりすることも出来ます。会社を大きくしていくのなら、個人にかかる負担は減らしていくことは大事です。

そういった意味でも協力者は欠かせません。

逆に協力者がいればこそ、会社組織を運営していくことができるとも言えます。

「毎月の売上のベースが出来た時が、株式会社設立のタイミング」

これは資本金ではなく、資金繰り面からみたタイミングです。

株式会社にすると、設立時の資金以外にも支払いが必要になってきます。決算が赤字であっても住民税の均等割支払いなどの資金繰り負担を追うことになります。

他にも社会保険料の負担や、決算書作成などの税理士費用も必要です。個人の時にはない費用負担が発生しますので、これを吸収した上で事業を行っていくことが必要です。

目安として3月決算の株式会社の支払スケジュールをつけておきました(詳しくは、税理士さんや税務署さんにご確認ください)

売上のベースが無いということは、いつ売上が立つかわからないということですね。

1年間通してみると費用が吸収(支払)できる場合でも、支払期日までに現金がなければ支払できません。
(以前のブログでも取り上げましたが、儲かっているのに手元のお金が不足して倒産してしまうことを「黒字倒産」といいます)

設立してすぐに資金が行き詰まることを避けるためにも、株式会社を設立するタイミングの一つとして、安定した売上のベースが出来上がった時という見方も必要だと思います。

株式会社設立を決めるときに

税金面から見ますと、利益率等によって変わりますが、事業収入が700万円〜1,000万円を超えると、法人にした方がメリットがあるといいます。

法人成りについては、費用の安い合同会社にするという方法もありますし、
株式会社の出資比率のところにつきましては、議決権の無い株式の発行や、投資育成等の活用などによって、対策をすることも可能です。

また、株式会社にした場合は個人と違い、有限責任(出資の範囲までの責任・個人の場合は無限責任)ですから、連帯保証人などになっていなければ責任の範囲も限られています。

あまり、必要以上にリスクを考えるよりは、ご自分の事業への思いや今後の戦略を重視し、どういった形態で事業を行っていくかを決められれば良いと思います。

 

出資割合については、事業承継を考えた対策も必要となってきますが、創業時の方々にはもう少し先のことかもしれませんので、ご要望があれば改めて記事にしてみたいと思います。

 

 

 

 

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西谷 佳之
大阪生まれ 神戸大学大学院経営学研究科修了(MBA) 大学卒業後地方銀行勤務。約10年 4ヶ店の銀行支店長経験後リレーション推進部地域創生室を経験し、大阪大学産学共創本部特任研究員として大学発ベンチャーの創生に関わる。 一方で、中小企業支援をライフワークとし、テイクオフパートナーズを立上げ。銀行ではほぼ全ての期間で法人取引を担当した経験や、支店長として着任したすべての店舗を業績表彰店に導いた手法とMBAの知識をもとに、個社別のコンサルタントや経営関連講演を行うことで事業サポートを行っている。 銀行の枠組みを超えた企業サポート手法のひとつとしてクラウドファンディングの可能性に魅力を感じ、クラウドファンディングを利用した事業サポートに注力している。 また、起業志向学生のサポーターとして大学発ベンチャー創生にも携わっている。

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