MBA ファンディングアドバイザー 西谷佳之

金融機関経験を活かした中小企業の創業・経営支援

ベンチャー

会社が危ない!ベンチャー企業が押さえておくべき「営業秘密の守りかた」3・5・7のポイント

更新日:

前回のブログでは、ベンチャー企業の資金の受け方についてお話ししました。

しかし、良い技術や仕組みを持っていればいるほど、隙あらば事業を奪い取ろうとする企業が現れます。

今回は、そのような時に
事業を守るにはどうしておけば良いかをお話します。

 

営業秘密を守ること

事業を取られそうになった時、必要なのはコアな技術などの情報を守ることです。

不正競争防止法とは、
特許法などに当てはまらない場合でも、

商品を模倣された
ドメインをまねされた
営業秘密を勝手に使われた

このような場合に保護してくれる法律です。

事業家や共同研究先から事業を守るために、特許にせず社内限りの技術としている場合
コアとなる技術や手法の流出を避けることは必要で、不正競争防止法はその部分を守ってくれる法律となります。

 

不正競争防止法で守られる営業秘密とは

秘密として管理されている生産方法、販売方法、その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの
不正競争防止法第26

となっています。

その要件は以下の3です。

① 社内でその情報が秘密であることがわかるように管理されていること 【秘密管理性】

・秘密保持契約 就業規則 秘密管理規則などがどのように管理されているか

①-1 紙媒体で保管する場合

営業秘密マル秘などを記入しわかるようにする別キャビネットに入れるなど取り扱い出来る

-2 データで管理する場合人員を限定する

秘密である旨をファイル名につける特定の人物しか知らないパスワードをつける

これらの対策を施していないと営業秘密とされません。

 

② 事業活動のために有用な情報であること【有用性】

ありふれたノウハウや、社内の人員配置に関する情報などは、事業活動のために有用な情報とはいえません。

 

③ 一般に知られている情報でないこと【非公知性】

既に書籍やインターネット上に掲載されているノウハウ等は、営業秘密にはあたりません。

 

以上3点を満たすものが不正競争防止法における営業秘密となります。

 

つまり、不正競争防止法で営業秘密が守られる為には
これらの条件をクリアする必要があると言うことです。

不正競争防止法に違反した場合 刑事上の罰則としては、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金あるいはその両方が科されます。

 

このポイントを押さえておらず、自社の秘密が外部に流れてしまうベンチャー企業は非常に多いのです

 

優先すべき秘密情報の「見える化」

特に研究開発型のベンチャー企業では、研究やプロダクトの開発戦略に関わる技術は成長戦略に直結します。

秘密とする技術情報が流出した場合、すぐに資本力を有する大企業や同業他社等に技術が盗まれ、最終的には事業存続が危ぶまれることになってしまいます。

したがって、資金受入れや事業拡大を検討するよりも前に情報管理体制は整えておく必要があります。

 

就業規則に退職後の守秘義務契約を盛り込んである秘密保持契約を締結しているといっても、守秘義務に該当する情報がどれなのか明確で無い場合は守り切れるとは言えません。

技術情報の流出防止対策は、コストと時間がかかることから、ベンチャーでは後回しになりがちです。

 

しかし、流出してからでは遅いのです。

多くの研究開発型ベンチャーが情報流出によって成長の機会を逸しています。

 

営業秘密情報の把握

 

社内に点在する秘密情報を全社的に把握するためのポイントは以下の5です。

 

 

保管場所の把握

どこに重要な技術情報があるかの把握は必須です。業歴の浅いベンチャー企業では組織の整備もままならず、情報の在処は明確ではありません。

研究開発担当者の実験データや設計図、実験ノート、製造担当者の製造方法にかかるメモや装置の設計図、営業担当者の顧客リストなど、情報の在処を明確にしていきます。

 

保管形態の把握

保管形態の把握も重要です。主な保管形態は以下の3です。

①電子媒体

パソコンや記録メディアといった電子媒体で保管される情報は、一度漏洩するとインターネットを通じてすぐに拡散をしてしまうことが特徴です。

②紙媒体

紙媒体で保管されている情報以外にも、パソコンから印刷した情報やコピー、プリントアウトした情報などの置き忘れによる漏洩もよくある話です。

③人間

人間に帰属する情報は非常にやっかいです。

経済産業省が平成24年に実施した「人材を通じた技術流出に関する調査研究報告書」では 情報漏洩する場合として

第一位が「中途退職者による漏洩
第二位が「現職従業員等のミスによる漏洩

という結果となっています。

「人の口に戸は立てれない」といいますが、本当にその通りで、悪意の場合はともかく悪意がない場合でも、上手く話をさせられたり、秘密情報とわかっていなかった事から話をしてしまったりする場合があります。

 

 

保有者の特定

・社内でだれが紙媒体をもっているのか
・だれがファイルにアクセス権があるのか
・管理はどのような形で行われているのか
・管理責任者はだれか

このような保有者についても明確にすることが必要です。

 

流出経路の推定

技術情報が流出するパターンは、

・契約の不備によるもの
・文書や情報の管理不備によるもの
・人間の移動によるもの

など様々な形があります。

どの情報はどのような流出が考えられるか、推定することが対策の一歩です。

 

経済産業省は平成15年に技術情報の流出経路を類型化した「技術流出防止指針」を公表してますのでご参考ください


https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/030314guideline2.pdf

 

技術情報の洗い出し

これらのポイントを押さえ自社の秘密情報の洗い出し、その重要度評価に応じてセキュリティレベルを設定し、具体的な対策を設定することが事業防衛に非常に重要なポイントとなります。

 

 

経営者が意識すべき7つのポイント

 

経済産業省では、企業が研究開発を行い、長年の事業活動の中で培ってきた技術ノウハウを守るため、まずは経営者が意識すべき7つのポイントを挙げていますのでご参考になさってください。

 

1.自社の技術、ノウハウに気付く
2.社員、顧客との良好な関係を築く
3.自社の宝である技術ノウハウは徹底的に守る
4.海外進出は技術ノウハウの流出を覚悟する
5.積極的に契約書を締結する
6.対策の検討では専門家を積極的に活用する
7.裁判では知財に強い弁護士弁理士に依頼する

研究開発系のベンチャーでは、自社のビジネス競争優位の源泉である「技術」について、その流出防止対策が意外にも進んでいないことが多いのです。

「当社は形として秘密情報を残していないから大丈夫」と勘違いされる方は非常に多いです。

 

秘密情報は形にして出ていかないように管理しないと出て行ってしまうのです。

 

 

 

あなたの会社の秘密情報を狙っている人はたくさんいると思って良いでしょう。
その人達に悪意があった場合、把握して管理していないと簡単に盗まれてしまうことになるでしょう。

そうならない為に、手順通りの管理方法で秘密情報を管理し、万が一の場合には法的に秘密情報を守ることを意識してほしいと思います。

 

 

こちらのブログは資金調達時に気を付けるポイントについてです。こちらもご参考に。

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大阪生まれ 神戸大学大学院経営学研究科修了(MBA) 大学卒業後地方銀行勤務。支店長として約10年 4ヶ店 全ての支店を業績表彰店舗に導くことに成功。その後推進部地域創生室を経験し、大阪大学産学共創本部特任研究員として大学発ベンチャーの創生に携わる。東京にてボードメンバーとしてベンチャー参画し、現在は大阪にて大学発ベンチャーのCFOとし、資本政策や海外子会社設立など経営に参画するとともに、新規商品開発にも関わる。 一方で、中小企業支援をライフワークとし、テイクオフパートナーズを立上げ。銀行での経験やベンチャー経験、MBAの知識をもとに、事業サポートを行う。 クラウドファンディングなどのツールによる直接金融をサポートすることで金融機関融資に頼らない資金調達、創業をアシストする。 また、セミナーなどを通じ起業志向学生をサポートすることで新しい事業創出の一助を担うことを目標としている。

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